広島県立美術館

 

広島市街地の交通の便が良いところにあります。

公式HP

美術館規模 

専用駐車場 有(有料地下駐車場)

アクセス方法

 JR広島駅から路面電車(広電)

お勧めアクセス法

 JRと広電を使うルートが便利ですが、広島の市街地は大して広くないので、散歩がてらに徒歩で行くのも手。また車で行っても駐車場があるので助かる。ケースバイケースで。

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展覧会レポート

 

「ウルトラマン伝説展」 2006.10/18〜11/19

 日本のテレビ特撮番組の草分け的存在で、今日でも圧倒的な人気を誇っているのがウルトラマンのシリーズである。本展ではそのウルトラマンで使用された怪獣のぬいぐるみといったものから、ウルトラマンの初期デザイン稿(ウルトラマンの初期デザインは半魚人のようなかなりおどろおどろしいデザインだった)などの制作の裏側をうかがわさせる資料、さらには当時使用したヘルメットなどの小道具といったものを展示してある。

 特別に特撮マニアというわけではない私だが、さすがにウルトラマンは明瞭に記憶に残っている世代である。懐かしいやら、感心するやら、すっかり楽しんでいる自分がそこにあった。なお代表的エピソードに関しての社会的背景などの解説もあったのだが(このようなものがあるところが、美術館で開催している意味なのだが)、それを見ているとウルトラマンという作品には制作者のメッセージがかなり込められていることを実感し、当時の制作者はかなり真剣に作品に挑んでいたことが理解できた。もっとも当時は子供であった私は、そんなメッセージなんてほとんど理解はしていなかったのであるが・・・・。

 会場には平成ウルトラマンなどの展示もあり、子供はそっちの方が興味があったようである。しかし本展のメインターゲットは実はお父さんの方であろう。なおウルトラマン時代の怪獣のぬいぐるみを見て「しょぼい」と言っていたガキには、思わず後ろから蹴りを入れたくなったが(笑)。

 

「偉大なるエルミタージュ美術館展」 2006.1/27〜4/2

 ロシアのエルミタージュ美術館には多くの美術品が収蔵されているが、本展では17世紀フランドル絵画と17〜19世紀にかけての工芸品を展示、この時代の市民生活に光を当てることを目的とした展覧会であるという。

 フランドル地方とは今で言うベネルクス3国の辺りであるが、この時代はスペインの支配下から独立すべく水面下での政争が起こっていた頃だという。また同時に宗教改革の時代でもあり、プロテスタントとカトリックの対立が芸術作品にも反映している。結局は独立に失敗すると共に、カトリックによる締め付けが厳しくなったことから、市民に勤勉や信仰を教えようとする「説教臭い」作品が後の時代には多くなっている。

 ただ絵画作品自体は、後のオランダ精密画につながる技法が明らかに現れている。これでもかと言う程の精緻な表現、やたらに寓意を込めた画面構成などは典型的である。このような美術史の流れを理解していると、本展の作品も非常に楽しむことが出来る。

 また工芸品の方は、マイセンの磁器や調度品など、単純に細工の美しさなどを堪能できる。そしてその合間から当時の人々の生活の息吹が滲んでいるというのが、本展のやはり一番面白いところであろう。

 

「ニューヨーク・バークコレクション展」 2005.10/4〜12/11

 バークコレクションとはニューヨーク在住のメアリ・バーク夫人による日本美術コレクションである。彼女は独自の審美眼によって収集作品を選んだようであり、コレクションは縄文土器や弥生土器から、仏像、絵画、工芸品など実に幅広い。しかしその中身は円山応挙や曾我簫白、伊藤若沖の絵画に快慶の手による仏像などレベルが高く、中には日本に存在すれば国宝になったのではというレベルの作品も含まれている。本展はこれらのコレクションの初めての里帰り展とのこと。

 彼女の選択基準は非常にはっきりしている。明らかに芸術性の高い作品のみをチョイスしていることは一回りしただけでもよく分かる。技巧を凝らした工芸品は言うに及ばず、縄文土器に至るまですべてが非常に精緻で美しいものである。彼女は日本では工芸と芸術が不可分に結びついていることに感銘を受けたそうだが、この辺りにも彼女の嗜好が反映している。

 単に資料価値だけでなく、一人のコレクターによって明確な意志の元に選択された逸品だけに、確かに感銘を受ける作品が多い。個人的興味としてはどうしても絵画がメインとなるが、中でも曾我簫白の「石橋図」は彼らしい破天荒な構図に唸らされた。なお仏像の方も慶派好きの私を満足させるものであったことは言うまでもない。

 本展は前期と後期で展示替えがあり、私が見たのは後期の方である。これだけ素晴らし内容だと前期の方も見たかったところであるが、まさか広島となるとそんなに立て続けに遠征するわけにもいかないし・・・残念。

 

「エルミタージュ美術館展」 2004.12/17〜2005.1/30

 かつてのロシア帝国の至宝を集めた美術館がエルミタージュ美術館である。本展はそれらの中からかつてのロシア帝国の繁栄を示す絢爛豪華な工芸品などを中心に展示している。

 展示はほぼ時代を追っているが、やはりロシア帝国最盛期のエカテリーナ2世の頃のものが多く、絵画なども含まれているが、メインは贅を尽くした工芸品である。圧巻はロシア皇帝が使用していたというキンキラキンの馬車であるが、これ以外にも銀製の食器や宝石を埋め込んだ嗅ぎタバコ入れ、飾り物などが次々と登場する。

 正直なところ、豪華ではあるのだがあまりにキンキラキンにすぎ、個人的にはあまり品が良くないと感じたのが本音。やはり大国ではあるものの田舎でもあったロシアでは、今一つ洗練の度が足りないのではないかという気もした。なお絵画は肖像画や古典的な絵画が中心であるので、やはり美術展と言うよりは「王宮の風物展」といったところが実際のところ。

 

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