成羽町美術館

 

 

安藤忠夫設計によるという建物のデザインも売りなのですが、写真では全貌を説明しにくいです。

公式HP

美術館規模 

専用駐車場 

アクセス方法

 伯備線・備中高梁駅からバスで15分

お勧めアクセス法

 駅からもかなり距離もありますし、やはり車の方が便利がよいですね。

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展覧会レポート

 

「巴里憧憬ーエコール・ド・パリと日本の画家たち」 2006.10/7〜11/12

 20世紀初頭、パリは世界中の芸術家にとって憧れの地であり、最新の芸術の発信地であった。多くの芸術家がバリに集い、彼らはエコール・ド・パリ(パリ派)と呼ばれることになった。その中には多くの日本人画家も含まれることになる。本展はそのようなエコール・ド・パリの画家の作品を集めた展覧会である。

 エコール・ド・パリと日本の画家たちとタイトルにあるように、本展の展示作品はシャガールやモディリアーニ、キスリングなどの作品も含まれているが、どちらかというと日本人の画家の作品が中心である。展示作は藤田嗣治(エコール・ド・パリの日本人画家を語るなら当然のことであるが)を始めとして、その後の世代に当たる里美勝蔵や佐伯祐三、さらには変わったところでは小野竹喬や土田麦僊などの日本画家(彼らも渡欧経験がある)などの作品までもが展示されている。

 当時の日本人画家達はヨーロッパの洗礼を露骨に受けたらしく、正直なところ「あっ、これはヴラマンク」「あっ、こちらはキスリング」などというように「元ネタ」が分かってしまうような作品が多かったのが妙に笑えたりする。一部の画家はそこから独自の画風へと発展させていったようだが、結局はそのレベルから脱することの出来なかった画家も少なかった印象を受けた。当時の日本の洋画壇の状況を知るには興味深い展覧会であったと言える。

 

「スイスの科学おもちゃ展」 2006.7/28〜8/27

 いかにも夏休みらしい企画で、スイスの科学おもちゃを展示したもの。展示されていたおもちゃは、例えば多角形を組み合わせて図形をつくるものや、マグネットで立体を組み上げるものなどである。これ以外にもスネークキューブなどかなり懐かしいおもちゃが展示されている。またこれに関連して、目の錯覚を利用したトリックアートなども展示されているので、子供向きである。

 さて大人の方であるが、なんと言っても本美術館は小島虎次郎の作品がすばらしい。虎次郎の作品については大原美術館にも多数収蔵されているが、本来は成羽町の方が虎次郎とはゆかりの深い土地であり、本美術館には虎次郎の初期の作品から晩年の作品までが収蔵されている。以前に大原美術館で彼の作品を見たときは「うまいが面白味がない画家」という印象を受けたのだが、本美術館で彼の作品に触れると、西洋の印象派の技法の影響を受けている若年期、そこから脱皮して新しい画風を打ち出そうとしている晩年といった流れが分かって興味深かった。この画家についての認識を新たにした。

 ところでこれは蛇足だが、成羽町が高梁市と合併したあおりで、本美術館のHPが去年の秋から長らく停止しており、私はそれを非常に勿体ないと感じていたので、今回の訪問のおりにHPの整備を強く要望しておいたのだが、実は7月の上旬に本美術館のHPがリニューアルされていたようである。地方の美術館が遠隔地の美術マニアにアピールする場としてはインターネットは安価かつ最も効果的な手法であるので、各美術館共にHPの整備には力を入れてもらいたいと感じる次第である。

 

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