海の見える杜美術館

 

高台の目立つ建物。屋上に見える金の仏像が何とも・・・。

公式HP

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専用駐車場 有(駐車場は建物よりもやや手前にありますが、建物前まで送ってもらえます)

アクセス方法

 広電宮島口駅からタクシー

お勧めアクセス法

 事実上、車で行くしか方法がないです。

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展覧会レポート

 

「京都画壇 師風の継承とその変化」 2006./9/9〜11/26

 日本画の世界では特に徒弟制的に師匠の技術が弟子に継承されていくという風潮が強かった。弟子の方はそれをベースに、そこに自分の独自の技術を付け加えて発展させていくのであるが、やはり師匠から仕込まれた基本は継続されていくものである。本展では竹内栖鳳の作品を中心に、その師匠にあたる幸野楳嶺、さらにその師匠である塩川文麟の作品を展示し、近代日本画の流れを紹介しようというもの。また竹内栖鳳以降の世代になる画家達の作品、特に池田遙邨などの作品を紹介している。

 竹内栖鳳は京都四条派の流れを汲む画家であるが、四条派の作品には、円山派以来の伝統とも言える写実の姿勢がベースにある。ただその写実に抒情を持ち込んだのが四条派の絵画だとは言われている。栖鳳の師匠筋にあたる幸野楳嶺、塩川文麟の作品はまさにその本流の作品なのだろう。もっとも私の目には彼らの作品はあまりに様式化してしまっているように感じられる。それに対して近代日本画家として、西洋画の潮流も意識しながら新しい時代の日本画的写実に挑んだのが竹内栖鳳であろう。それまでの日本画とは一線を画したタイプのリアリティを彼の絵画からは感じられる。特にライオンの顔を描いたという作品については、デッサンが崩れているのではないかとの疑問を感じたにもかかわらず、何とも言えない迫力があった。このタイプの表現力はそれまでの日本画にはなかったものである。本展は竹内栖鳳の魅力を堪能するに適した展覧会であったようである。

 なお本展では池田遙邨の作品についてもスペースを割いていたようである。実は遙邨の作品については、以前に倉敷市立美術館で見た時にはあまり良い印象を持っていなかったのだが、本展の展示作については面白みをかなり感じた。展示作のレベルが違うのか、ここ一年ほどの間に私の日本画に対する理解が変わったのか、どちらが原因なのかはよくは分からないのであるが。

 

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