展覧会遠征 神戸編

 

 先週に続いて今週も近場です。今週は神戸へ。

 家を出たのは昼頃。大丸の提携駐車場にとりあえず車を放り込むと、まずは昼食を食べに繰り出す。今回行ったのは南京町。現在、中国食材が安全性の面で云々されているが、そう言う騒動もここは無関係。日曜日のためか小雨がぱらつく天候にもかかわらず、人通りは多い。中華料理屋が軒を連ねている光景には唖然。実を言うと、私は元々は神戸市民だったにもかかわらず、南京町を訪れるのは初めて。こんなに活気のあるところとは知らなかった。

 で、私が昼食を摂ったのは、実は南京町ではなくてそこから少し裏に入ったところにある「洋食や双平」。カウンターが中心の小さな店で、内部は洋食屋と言うよりはカフェのようなイメージ。私が注文したのは「とんかつのせドビーライス(850円)」。ドビーライスとは、ご飯の上にカツなどを載せて、デミグラスソースを上からかけたもの。載せるカツはトンカツ、ミンチカツ、ビフカツなどを選べて、それによって価格が変わる。わたしが選んだトンカツは一番安いメニュー。

 しばらく待った後、皿に盛られたドビーライスが登場。さてご飯にデミグラスソースをかけると言えばハヤシライスだが、私はこのハヤシライスというメニューが実は苦手である。と言うのは、甘味のあるデミグラスソースがご飯にかかると、何ともアクセントのないぼやけた味になってしまい、うまさを感じないどころか最悪は胸が悪くなるのである。だから実は私は、この店の名物がドビーライスだとは聞いていたが、半信半疑で注文したところがある。

 さて一口放り込むと、なかなかいける。ここのデミグラスソースはなかなか独特で、味に強めの苦みが加わっている。多分タマネギを炒める時に意図的に焦がし込んでいるのではないかと思うのであるが、この苦みが加わることによって甘めのデミグラスソースの味が引き締まり、特にご飯にかけた時に絶妙のバランスになるのである。私がイメージするハヤシライスのぼやけた味とは異なり、もっとシャープな味になっている。量的にはやや軽めであるが、価格も妥当であるのでCPは良い考える。

 昼食をすませた後は南京町をフラフラ。神戸の南京町は庶民と密接に結びついて来た町であるが、それを示すかのようにどこも価格は安めである。店をのぞいている内に、腹具合にまだ余裕があったこともあり、思いつきで一軒に入り、フカヒレラーメンと焼飯等がセットになったランチ(850円)を頂く。

 

 ラーメンと言うよりは素麺よりも細いのではないかという麺が出てきたのは驚いたが、味はやや平凡。他のメニューも中華には少々うるさい私を驚かせるようなものではなかった。次回は事前にもう少し店を調べてから行こう。

 さて、腹も一杯になったことだし、今回の本題の方にはいる。


「イートン・カレッジ/ダーラム大学所蔵 古代エジプトの美展」大丸ミュージアム神戸で10/5終了

 

 日本人はなぜかエジプト展が好きなようであるが、本展もエジプトにまつわる物品を展示した展覧会。私が訪問したのが会期の最終日ということもあるのか、会場内は満員であった。

 展示品は土器や青銅器などの生活に密着した用具から、ミイラなどの副葬品の類など。また実際のミイラの展示もある。高貴なミイラに添えられる副葬品は高級な装飾品であるから、芸術的価値も高く見ていて美しいものも多い。

 展覧会の形式として、タイトルに「エジプトの美」と銘打っているように、エジプトの美しい装飾品を見せるというニュアンスがにじみ出ているので、博物資料としてエジプトの歴史を語るという観点は欠落しているようである。そのために見て楽しい展覧会ではあるのだが、私のような歴史マニアには少々物足りなさも感じずにはいられなかった。


 大丸での用事を済ませたら次の目的地に移動だが、その前に地下で買い物をする。大丸提携駐車場では大丸で3000円の買い物をすると2時間の駐車が無料になる。そこで私は無意味に駐車場代を払うぐらいなら、いつも地下でおみやげを買って帰ることにしている。当然のように購入したのは、神戸土産の定番、ユーハイムのフランクフルタークランツである。我が家は家族揃ってこれが好物なのである。これとこれまた定番のバームクーヘンで合わせて3500円ほど。これで駐車場代はOKである。

 

 駐車場から車を出すと次の目的地へ。次は私が「車で行けば駐車場代が高いし、電車で行けば駅から半端に遠い」と常々文句を言っている兵庫県立美術館である。しかし駐車場に車を入れようとするとなぜか満車。どうやら親子絵画大会の類のイベントがあった模様。正直なところこっちにとっては迷惑この上ない。結局駐車場前でしばらく待たされてから入場する羽目になる。


「シャガール展」兵庫県立美術館で10/15まで

 

 シャガールの生涯を通じての作品を展示。ロシア国立トレチャコフ美術館の所蔵品やパリの個人蔵の作品が中心とのことで、最初のパリから帰国した頃などロシア時代の作品なども展示されている。

 特に興味深いのは彼がユダヤ劇場のために描いた壁画が展示されていること。これらの壁画は第二次大戦下でのユダヤ人迫害の中、舞台下に隠されて生き延びたものだという。ロシア時代のシャガールの集大成のような作品で、後の作品に比べて色彩はまだ抑え気味であるが、モチーフについてはサーカスのモチーフなど、後の作品を思わせるものが既に登場している。

 これ以外の展示品としては、版画作品とアメリカ時代以降のまさに色彩が開花した時代の作品が目を惹くが、この辺りは他の展覧会でも結構良くあるネタとは言える。本展に特徴的なのはシャガールの作品によるタペストリーが展示されていることか。これはかなり巨大な作品であるだけに目を惹く。

 定番と言えるような作品を展示しつつも、毛色の変わった展示を交えることでやや変化をつけた印象があるのが本展。私は今までに「シャガール展」と名の付く展覧会に何回出かけたかは既に忘れてしまったぐらいであるが、本展はまた違った角度から楽しめた。


 以上で今回の予定は終了。本当はこの後、神戸の温泉銭湯にでも立ち寄りたかったのだが、天候が悪いのと時間が遅くなったのとでまっすぐ帰宅することにした。

 

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