展覧会遠征 大阪編11

 

 つい先日静岡まで遠距離遠征してきた疲労がまだ抜けていないところだが、この週末はライブに繰り出すことにした。

 

 金曜の仕事を早めに終えると大阪へ大急ぎで移動。いずみホールで開催される日本センチュリーのハイドンマラソンを聴きに行くつもり。ハイドンは本来は守備範囲ではないものの、私の好きなトランペット協奏曲が演目にあるのと、以前に山形交響楽団の演奏会を聴いた時に「飯森の本領はこっちのジャンルじゃないか」と感じたことなどが理由である。

 

 とりあえずコンサートの前に腹ごしらえ。大阪駅で降りると「段七」「醤油豚骨ラーメンと炒飯のセット」を頂く。

 手早く夕食を終えると環状線で大阪城公園駅まで移動。いずみホールはついこの間、関西フィルのコンサートで来たところである。既にここも通い慣れた道の感覚。

 到着した時には既に開場時刻を過ぎていた。いずみホールは9割ぐらいの入り。なかなか盛況なようである。なお今回はテレビの収録があるとのことで、NHKのカメラがやって来ている。飯森のメディア戦略だろうか。

 


日本センチュリー交響楽団 いずみ定期演奏会 No.28

 

指揮:飯森 範親(日本センチュリー交響楽団首席指揮者)

トランペット:小曲 俊之(日本センチュリー交響楽団首席トランペット奏者)

 

ハイドン:交響曲 第77番 変ロ長調 Hob.T:77

ハイドン:トランペット協奏曲 変ホ長調 Hob.Vlle:1

ハイドン:交響曲 第14番 イ長調 Hob.T:14

ハイドン:交響曲 第101番 ニ長調 Hob.T:101「時計」

 

 ハイドンの初期・中期・晩年の交響曲3曲が組み合わされていたが、ハイドンも時代と共に進化して、オーケストラの規模も曲の構成も大きくなってきているのがよく分かる。飯森の指揮は例によってのオーバーアクション気味の派手な指揮で、演奏についてはややメリハリの強めのハイドン。やや表情をつけすぎのきらいもないではないが、私のようなそもそもハイドンがあまり得意でない者にはむしろ退屈せずに聴きやすい。また交響曲101番になると、ベートーベンにつながる流れのようなものがかなり明瞭に見えて面白い。

 トランペット協奏曲については、小曲のトランペットが華麗かつ軽やかな音色で非常に気持ちの良い快演。オケとの息もさすがにピッタリで非の打ち所のない演奏であった。

 やはり以前に感じたように、飯森はこのぐらい規模のオケを率いて古典的な曲を振った時の方が冴えがある。本人としては大編成によるマーラーなんかもやりたいのだろうと思うが、そういう場合にはオケを持て余していた感があったし、解釈などにもあまり独自性は見られなかった。ハイドンのような下手にやれば無味乾燥になりかねないプログラムこそ、過剰演出気味の飯森の指揮がむしろ曲に面白味を与えるぐらいのちょうど良いバランスで機能しているようである。


 コンサートを楽しんだ後は明日に備えてホテルで一休みである。今回宿泊するのは南方のホテルコンソルト。この辺りなら江坂のジーアールホテルでも良いのだが、あえてここを選んだのは楽天の割引チケットがあったから。大浴場がないのが難点だが、駅の真ん前で便利な上に宿泊料が安い。大遠征直後だけにやはり財布へのダメージを一番心配した次第。

 

 ホテルにチェックインすると1階にある「花の舞」(ルートインには普通にあるが、ルートイン以外のホテルにあるのは初めて見た)で軽めの夜食をガッツリと摂る。

 

 この日は疲労が強いので、部屋に戻るとシャワーを浴びて早めに就寝する。

  

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は8時頃まで寝ておくつもりだったのだが、サラリーマンの悲しい習性で7時には目が覚めてしまう。

 

 朝食はレストランでバイキング。朝からガッツリと頂く。腹ごしらえが出来たらシャワーを浴びて外出準備。今日はコンサートの前に10時からのイベントに参加する予定なので9時半頃にはチェックアウトする。

 まず最初に向かうのは大阪駅北のノースビレッジ。それにしてもここのビルは本当に使いにくい。デザイン最優先にして大失敗している典型的な例である。

 

 ここにわざわざやってきたのは、ここで開催されている「進撃の巨人展」を覗くため。展示にあわせて360度バーチャルシアターなるものが開催されており、これの今日の10時からのチケットは既に入手済みである。

 私の到着時には既に行列ができていたが、この日の2回目の上演に間に合う。ヘッドマウントディスプレイを付けて、ヘッドフォンでバーチャルリアリティの世界に没入するという仕掛け。内容は新米兵士としてトロスト区奪回作戦に参加するという趣向。あの戦闘を疑似体験できるということだが、明らかに立体機動の速度はコミックのイメージよりも抑え気味だった。そりゃあのままの速度でバーチャルにしたら、恐らく半分方の参加者が吐いてしまうだろう。なお新米兵士は途中で巨人に食われそうになるが、そこは無敵のミカサお姉さんが助けてくれる。しかしミカサお姉さんよりもリヴァイ兵長に助けてもらいたい腐女子も多そうだったが・・・。それに「ウォール大阪」なんて言われた日には、「おい!関西版の方かい!」と突っ込みを入れたくなった。川藤幸三はどこだ。

 

 バーチャルシアターの次は展示の見学。冒頭は映像による演出になっているが、これが実質的な改札制限となって会場内部が大混雑するのを防いでいる。この辺りはかなり大型イベントに手慣れた会社が仕切っているのを感じる。コスプレ兄ちゃんがノリノリで紹介してくれるが、その後この兄ちゃんは哀れにも巨人の餌食となるようである。

いわゆる原画展示に

アイテム類など。中央は立体起動装置で、右はリヴァイの最重要装備であるハタキ

 冒頭の映像パートを抜けると、後はこの手の展覧会にはお約束のいわゆる原画展である。これについては残念ながら「ストーリーは面白いのになぜこんなに絵が下手なんだ」と連載開始時からずっと思っている私には今一つ興味が出ない。面白かったのは一番最後の超大型巨人の実物大模型ぐらいか。正直なところ、入場料に見合った内容かには疑問もないわけではないが、まあこれはこれで予想通りではある。

  

 進撃の巨人展を見学した後は昼食を摂りたい。このビルの6階にレストラン街があるらしいのでそこを覗く。ちょうど「近畿大学水産研究所レストラン」が11時から開店で、開店待ち客がゾロゾロと案内されているところだったので、そこの行列に並ぶ。幸いにして私の後ろ数人までが無事に第一回入場組となる。

 注文したのは「海鮮丼(1850円税込)」。近大マグロを初めとして、近大養殖の魚類を盛り合わせた海鮮丼である。養殖魚は往々にして無駄に脂がのりすぎてしつこい場合があるのだが、ここの魚は意外とさっぱりしていてなかなかに美味。近大も良い商売をしているようだ。次はうなぎの完全養殖に成功して近大ウナギ屋というのも開いてもらいたい。

  

 コンサートの会場まではまだ時間があるので喫茶辺りで時間をつぶしたいが、どうも適当な店がない。結局は開場時間よりかなり早くホールに到着し、ホール前の公園のベンチでこの原稿を執筆する羽目に・・・。その内にようやく開場時刻が来たのでホールに入る。どうもこちらのコンサートも放送用のカメラが入っている模様。後で調べたところBSジャパンとのこと。


藤岡幸夫 ザ・ベスト・シンフォニー!

 

[指揮]藤岡幸夫

[管弦楽]関西フィルハーモニー管弦楽団

 

ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 op.92

サン=サーンス:交響曲 第3番 ハ短調 「オルガン付」 op.78

 

 コンサートのメインを張れるようなプログラムを二曲組み合わせた名曲演奏会という趣のコンサートである。

 デュメイが指揮をしないと普通の日本オケになってしまうなどと揶揄される関西フィルだが、確かに藤岡が振ると弦の音色はデュメイの時とは違っており、デュメイの時ほどの強烈な圧力はない。またアンサンブルに若干の粗さも出てくる。ただそれでも悪い演奏というわけではなく、なかなかに熱の入ったものであった。

 ベートーベンに関しては比較的オーソドックな演奏で、より熱が入っていたのはサン=サーンスの方。オルガンの音色が響く大スペクタクルをてらいなしにそのままダイレクトにぶつけてきた。演奏会の趣旨から考えるとこれはこれで正解だろう。


 いずれもまずまずに満足できる演奏会であった。とは言うものの、やはりハイドンはもう良いかな・・・。

 

 

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