展覧会遠征 岡山編13

 

 昨日は西宮にPACのコンサートを聴きに行ったが、今日は岡山シンフォニーホールに岡山フィルのコンサートを聴きに行くことにした。

 

 岡山にはJRで昼過ぎに到着する。何はともあれまずは昼食である。以前にも立ち寄ったことのある「はしや」「タンシチュー定食(1150円+税)」を頂く。

  

 ここの定食は総菜系のおかずがついていて品目が多いのが栄養的にありがたい。また十六穀米などというのも良い。メインのタンシチューであるが、オーソドックスな普通に美味いシチュー。何となくホッとする味だ。昼時なので店の前に行列が出来ていたが、確かにこういうバランスの良いものを出す店が意外と少ないのである。

 

 昼食を済ませると路面で城下まで移動、開演時間まではまだ2時間以上あるので美術館に立ち寄ることにする。


「生誕100年記念 河原修平展」岡山県立美術館で11/3まで

  

 倉敷出身の画家・河原修平の特集展。

 大胆な絵の具厚塗り系の独特な画風の画家である。絵の具厚塗り系と言えばジョルジュ・ルオーのようなザックリした絵が多いのであるが、彼の場合は絵の具厚塗り系にして描き込みの多い独特の絵画である。この手の絵画を描く者はとかく抽象に向かいやすいのであるが、彼は最後まで具象画家であったようだ。

 好きなタイプの絵ではないが強烈なインパクトはある。妙な力が漲っている感じである。


 県立美術館の見学を終えた後は、久しぶりに近くのオリエント美術館に立ち寄ることにする。

 


「香りのシルクロード−古代エジプトから現代まで」オリエント美術館で11/8まで

  

 古代より単に悪臭を誤魔化すというためだけでなく、宗教的な清めの意味などを込めて諸々の香料が使われて香りの文化が形成されている。これらの香料やそれに纏わる品々を展示した展覧会。

 実際にいくつかの香料の匂いをかげるのであるが、エジプトの香料はエジプトの、イスラムの香料はイスラムの、そして仏教関係の香料はいかにもお寺臭いといったように、不思議とそれらの文化のイメージと香りが重なるのが面白いところ。また香料は古来よりかなりの贅沢品であるので、それを扱う香炉などの器具はかなり贅沢な細工を尽くしたものが多いところは工芸的にも楽しめる。

 最後は現代の香料で、かの有名なシャネルの5番なども展示。ムッとくるような甘ったるい匂いで、これがまた不思議とかのマリリン・モンローのイメージと被る。嗅覚というのは意外などほどに人間のインスピレーションに影響を与えるようである。


 美術館の梯子の後は商店街をフラフラ。さすがに日曜の昼だけあって、この前に来た時よりは人が多いが、それでも賑わっているというほどではない。やはりかなりイオンに客を取られているのではないか。

 どこかで一息つきたいと思っていたところ、途中で「お茶のほんぢ園」なるお茶屋を見つける。ここはスイーツも扱っているようだ。抹茶パフェの「雅(520円)」を頂く。至福の瞬間である。

  

 パフェを食べ終わって一息ついたら開場時刻になっていた。そこでプラプラとホールに向かうことにする。

 

 岡山フィルは岡山シンフォニーホールの建設に当たって、このホールの専属のオケとしてそれまでのアマチュアオケからプロオケに発展させたと聞いている。近年はベルリンフィルのソロ・オーボエ奏者であったハンスイェルク・シェレンベルガーを首席指揮者に迎えてレベルアップを図っているとのことであるが、その実力のほどを今回初めて見せてもらうことになる。

 岡山シンフォニーホールは以前に広響の演奏会を聴きに来たことがあるが、かなり大きな立派なホールである。ただ座席が事務椅子のようでやや安っぽいのと、1階の前半席がほとんど傾斜のない平土間なので、私の席のように前半席の最後列などだと前席の観客の頭が気になるというところが難点である。

 

 ホールは3階席までほぼ満席であり、かなりの盛況である。地元ではなかなかに人気があるのであろうか。


岡山フィルハーモニック管弦楽団 第48回定期演奏会

 

指揮/ハンスイェルク・シェレンベルガー 

ピアノ/小菅 優 

管弦楽/岡山フィルハーモニック管弦楽団

 

ブラームス/ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15

ブラームス/交響曲第2番 ニ長調 作品73

 

 小菅のピアノはダイナミックでメリハリの効いた演奏。謳わせる部分はたっぷりと謳わせつつ、快速に飛ばす部分は怒濤の如くというような振幅の激しいものである。

 一方の岡山フィルだが、どうしても弦を中心に弱点が見え隠れする。ピアノ協奏曲においては小菅の熱演にかなり救われていたが、交響曲第2番においては東条文化会館で聴いたデュメイ/関西フィルなどと比べると、やはりどうしても弦の圧力の弱さが目立ってしまう。とは言うものの、アンサンブルに関しては無難にまとまっているようである。

 概ね破綻のない演奏をしていた印象なので、もう後さらに一歩というのが正直な感想である。今後に期待というところであろうか。


 小菅の演奏だけが目的の者もいたのか、前半だけで帰った観客もいくらかいたようであるが、最後まで場内はなかなかに熱い盛り上がりであった。ただフラ拍とフラブラにはまいった。あまりに早すぎ。演奏後の余韻どころか、まだ演奏中なのに拍手を始めた輩までいて、さすがにこれは正気の沙汰ではない。

 

 岡山フィルのHPによるとバイオリンのメンバーは10人ちょっとのようだ。つまり2管対応で12編成にすると半分近くがトラということになってしまい、これはかなりしんどいところである。弦がややザワザワした印象があったのはこれが原因か。となると当面の最大の課題は2管編成に十分なだけの弦楽奏者を確保することか。いずこの地方オケも人材確保には苦労しているようである。

 

 コンサートを終えると路面で岡山駅まで。やって来た列車がたま列車だったので驚いたが、よくよく考えると和歌山電鐵の親会社はここだった。大スターのたま駅長亡き後の和歌山電鐵は現在どうしてるんだろうか・・・。あれだけの逸材はなかなか存在しないだろうだけに、その死が悼まれる。

 岡山駅まで戻ってくると、そのまま自宅に直行したのである。しかしさすがに週末を2日続けて出かけると疲れる。あまり無理はしない方が良いんだろうな。年齢を考えると。

 

 

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