展覧会遠征 奈良・高野編

 

 2016年最初の週末は今年度初ライブのついでに奈良方面に繰り出すことにした。理由はじゃらんで配布していた奈良県内向けの地域振興券が今月期限であるため。昨年に続いて「税金で温泉で豪遊しようツアー」である。どうせさんざん国民をごまかして選挙を切り抜けたら、消費税の大増税その他で庶民はとことん絞りつくされるのは見えているのだから、今のうちは制度に乗っかっるのが正解である。なお安倍は選挙が近づいたらマスコミを朝鮮中央電子台並の政府マンセー放送一色にするために、露骨な報道弾圧を繰り返している。おかげで今や日本の報道の自由度は海外では先進国の中では最低ランクに評価されており、振り返れば専制主義国家がいるという状況。今の北朝鮮は明日の日本の姿ということである。日本の将来のためには私も思うところは多々あるが、政治家の家に生まれたらあんな馬鹿でも総理になれるが、私のような貧民家庭の出では政治家なんか遙か遠い世界である。

 

 愛国心が暴走していきなり話がそれてしまった。さてコンサートだが、兵庫県立芸術文化センターで開演は土曜の午後2時から。そこでホールに行く前に三ノ宮で昼食を摂る。「肉のツクモ」「1.5倍ステーキ丼(1450円)」を頂く。まあ三ノ宮飯だとこんなものか。

 昼食を終えてもまだ開演までに時間があるので喫茶で時間をつぶすことにする。「カフェコンフォート」「抹茶のワッフルとコーヒー(1160円)」を頂きながら、宮城谷昌光の三国志を読みつつマッタリ。1時頃に店を出るとホールに向かう。

  


プラハ交響楽団「新世界」

 

指揮 ピエタリ・インキネン

管弦楽 プラハ交響楽団

ヴァイオリン 成田達輝

 

スメタナ:モルダウ(交響詩「わが祖国」より)

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64(ヴァイオリン:成田達輝)

ドヴォルザーク:交響曲 第9番「新世界より」

 

 プラハ交響楽団はすべてにおいて中庸という印象。と言うのは、昨年に聴いたプラハ放送交響楽団やスロヴァキアフィルのようなスラブ臭さはないが、チェコフィルほどには洗練されていないという位置づけになる。なおアンサンブルには今一歩の甘さがあるが、新世界になると精度が向上する辺りはやはりチェコのオケ。

 インキネンの指揮は動作が大きいが、いわゆる爆演型とは違ってオケにコントロールを効かせながらのエレガントなタイプの演奏。北欧出身のためかチェコ出身の指揮者とは感覚が違うようであることが感じられる。それが端的に現れていたのがアンコールのスラブ舞曲。エレガントで流麗ではあるがスラブ臭くないスラブ舞曲であった。

 成田達輝の演奏については残念ながら冴えが感じられなかった。テクニックが前面に出るタイプではないメンデルスゾーンでは彼の真価が発揮できていなかったように感じられ、神経質でか細い印象の演奏になってしまった。またやや前のめり気味のソリストに対し、オケが十分に連携できてない部分があり、今一つしっくりいかない印象も受けた。


 正直な感想としては今ひとつというところ。私はやはりもっと泥臭い演奏の方が性に合うのだろうか。

 

 ライブが終わると直ちに移動。今日の宿泊ホテルは橿原神宮駅前の橿原ロイヤルホテル。チェックイン時刻は6時だが、阪急・地下鉄・近鉄を乗り継いでホテルに到着したのはギリギリ。ホテルにチェックインするとすぐに地下のレストランで夕食になる。

 夕食はご当地会席メニュー。前菜からなかなかにうまく、出だしは上々。造りはオーソドックス(と言うか、奈良で刺身?)だが、鍋がご当地色があって独自のもの。牛乳がベースだとか。ちなみに付け合わせになっているのが古代チーズの蘇だとか。ちょっとしょっぱみのある独特のものであるが、これが野菜に意外に合う。後は天ぷらとに腕物、酢の物にご飯と味噌汁(さすがに奈良漬けがうまい)で、デザートはほうじ茶プリンとわらび餅だが、これがうまい。

 夕食を終えると地下の大浴場で入浴する。ここは温泉大浴場があり、ナトリウム塩化物泉の温泉である。肌当たりがややベットリした感じのお湯だが、なかなかに温まる。

 

 入浴を終えると部屋に帰ってマッタリしながらこの原稿の作成(笑)。夜も更けてくると再び入浴をしてから床につく。

  

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は7時に起床。昨晩は寝床の中で三国志を深夜まで読みふけってしまったせいでかなりの寝不足。無理矢理に目を覚ますために入浴に出かける。浴場は昨日の岩風呂から今朝は桧風呂に変わっている。

 

 入浴を終えると展望レストランで朝食。和食メニューだが、奈良らしい茶粥に朝から鍋付きと豪勢なもの。ガッツリと食べておく。

 10時過ぎにチェックアウトするとそこにある橿原神宮を見学に行く。しかしキャリーをゴロゴロと引いてなので、砂利道を歩くのがツラい。

 日本建国神話と密接な関わりのある神社だけに、随所からその手のイデオロギーの臭いが漂ってきて、正直なところ私としては苦手な雰囲気。神聖な場所と言うよりはやけに生臭い。

 橿原神宮の見学を終えると次の目的地へと移動することにする。次の目的地は高野山。とは言うものの、実のところは高野山を見学するのが目的ではなく、今日の宿泊ホテルにアクセスするための最寄り駅が高野山になるから。今日の宿泊ホテルは野迫川温泉のホテルのせ川なのだが、ホテルの送迎バスが出るのが高野山駅という次第。ホテルはここから車で50分もかかる山中にあるのだが、わざわざそんな山深い中まで繰り出す気になったのは一点大きな魅力があったからだが、それについては後で述べる。

 

 橿原神宮前から古市まで戻ると乗り換えて河内長野まで移動。途中で宗教都市のトンデモ林こと富田林を過ぎると河内長野はすぐである。この駅では近鉄と南海のホームが隣接している。

 

 高野山行きの南海電車は1時間後なので、その間に昼食を摂っておこうと考える。しかし駅前商店街は瀕死で飲食店がない。結局は駅前ビルの二階のパスタ店でお昼のランチメニューを頂く。ペペロンチーノ自体は悪くはないが、ランチ全体を見るといろいろな意味でイマイチ感のある内容。

 昼食を終えると南海で移動、橋本で乗り換えになる。橋本駅のホームの向こうには以前に乗車したことがある天空の車両が見えている。しばらく待った後に到着した二両編成の車両で極楽橋に向かう。途中で九度山を過ぎるがこの駅は完全に真田一色になっている。そう言えば大河ドラマは今日からだった。

 高野線車両

 九度山を過ぎた辺りから傾斜がさらにきつくなって山岳路線となる。以前にも乗車したことはあるが、この辺りは本当に凄い風景である。つくづく高野山とは秘境である。

 極楽橋に到着、隣のホームには六文銭仕様の「真田赤備え列車」が止まっている。今年一年は真田を前面に出して一儲け考えているんだろう。高野山でこの調子だと、上田辺りはさぞかし・・・などと想像する。

 真田赤備え列車は六文銭がトレードマーク

 ここでケーブルカーに乗り換える。このケーブルカーがとんでもない急勾配を登るもの。これに匹敵するような急勾配ケーブルは私の経験した範囲では高尾山ケーブルしか知らない。

ケーブルカーで高野山駅へ

 高野山駅に到着すると、ここからはバスでの移動になる。高野山駅に到着するのは送迎の集合時刻の1時間以上前になることから、高野山駅でなく金剛峯寺前で拾ってくれるようにすでにホテルには電話連絡している。送迎のバスが来るまでに金剛峯寺の参拝でもしておこうかという考え。

 

 千手院前の停留所で降りると隣が金剛峯寺。手早く参拝を済ませておく。祈るのは世界平和と日本が悪しき者達の手から解放されること。中に入るのは有料なのでパス。

 金剛峯寺の参拝を終えると根本大塔などを見に行くが、これは以前にも見学しているのでザクッと回るだけ。

 まだバスが来るまで時間があるので千手院前まで戻ってお茶にすることに。「甘党喫茶きく」「ぜんざい(700円)」を頂く。甘さがホッとする。

  

 ぜんざいでくつろぐとバスの時刻に合わせて金剛峯寺前に戻る。まもなく送迎バスが到着、私以外には後は奥の院前で2人の客を拾うだけとのこと。

 

 ここからはかなり深い山の中に入っていくことになる。高野龍神スカイラインはとんでもない山の中を走る道路で、冬期は積雪で通行止めになることがあるそうな。今年は暖冬の影響で路面に雪は全くない

 とんでもなく山の奥である

 途中でスカイラインをはずれるといよいよ車のすれ違いも難しそうな山道をバスはしばし走行する。これは雪が降らなくても車で来なくて正解だと思う。山城見学で山道は走り慣れているとはいえ、この険しい山道をこの長距離走行するのはゾッとしない。

 

 50分ぐらいかかってホテルのせ川に到着。まさに谷間の秘湯の雰囲気である。ここにはキャンプ場などもあるようだが、冬期は完全にシーズンオフのようだ。チェックインを済ませて部屋に入ると、何はともあれ大浴場へと繰り出す。

 

 ナトリウム・炭酸水素塩系のアルカリ泉のようである。肌当たりとしては最初はややベットリした印象で、後から肌がサラサラしてくる感じ。

 

 入浴を終えると夕食の時間。実はここのホテルを選んだ最大の理由がこの夕食である。このホテルの夕食メニューは鴨・猪・雉の三種の肉を使った「かしき鍋(それぞれの頭文字を取っている)」が売り。元々ジビエ系が好きな私は鴨も猪も好物。また雉は食べたことがないので非常に興味があるところ。と言うわけでこの鍋に惹かれてわざわざこの山奥までやって来たというのが真相。

 

 夕食は大広間で。宿泊客は全部で7組ほどのようだ。夕食のメインは鍋で、これに小鉢やアマゴの塩焼きもついているのだが、まずこれがうまい。アマゴは頭から丸ごと頂けるのが最高。

 そうこうしているうちに鍋が煮えてきたので、野菜から入れてそれが煮えた頃に肉を入れる。猪はいかにも獣らしい味で、鴨は鳥にしてはコクのある強い味、そして初めての雉だが比較的あっさりした味であるが滋味がある。鍋が醤油系の味付けがされているのでそれがよく合っている。

 ある程度食べたところで太麺や餅を加える。これがまたうまいが、一番美味だったのは締めの雑炊。肉の出汁が出て絶妙の味わい。

 デザートは本葛を使用したという葛餅。黒大豆のきな粉かけである。これがさっぱりしていて抜群にうまい。

 満足して夕食を終えると部屋に戻ってテレビを見ながらマッタリ。ダーウィンは申年特集で、育児放棄されていた小猿を自分の子供と一緒に育てているメスザル(カラオケという名前はなぜ?)の話を。最近は日本でも育児放棄や児童虐待が問題となるが、これは野生でもあるらしい。多分NHKはこの小猿が自立するまで密着取材するんだろうな。

 

 ダーウィンの次は大河「真田丸」。昨年の吉田松陰の妹なんていうどうしようもない題材と違って、題材自体がよいから話はそれなりに面白いんだが、ただ明らかに現代劇になってしまっている上にコメディ路線というのが・・・先行き不安。堺雅人は完全にリーガルハイになってるし。しかも今回の十代演技はかなりしんどいものがあった。かの暗黒大河の「江ちゃん10才」を思い出して悪寒が。浅間山のドッカンは確かに三谷らしくて笑えたが、大河としてこれでいいのかというのは疑問はある。信繁の年齢が上がってくるこれからの堺雅人の演技が要注意か。私が懸念材料に感じていた大泉洋はそれなりに無難にこなしていた模様。まあ大河的観点からの見所は、いかにも戦国一の曲者らしさが遺憾なく表現されていた真田昌幸と、やるせないまでの悲壮感が漂っていた武田勝頼か。勝頼に関しては一話限りで退場なのは少々勿体ないぐらい。ただどうも最近はNHKでさえもまともに時代劇の演出が出来る人材がいなくなったようだなというのは痛感される。それと音楽がBGMも含めて結構ヘボかったのが気になるところ。とりあえず去年のや「コメディお江でござる」のように第一話で落ちるということはないだろうが、結構早いうちに落ちてしまう可能性もある。世間ではかなり評価は低かったが、「平清盛」とか結構良かったんだけどな、序盤は。

 

 大河が終わると暇になってくるので再び入浴、戻ってきたら布団に横になりながらiPadで持参した「暗殺教室」のビデオを見つつ就寝。

  

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は7時に起床だが、昨晩は「暗殺教室」のビデオに見入ってしまったせいで夜更かししてしまい、完全に寝不足。二日続けて何をやってるんだか。

 

 入浴して目を覚ますとレストランで朝食。ご当地ものもまじえた和食でなかなかうまい。

  

 チェックアウトは10時。ホテルから高野山駅まで送迎してもらう。往路と同様のかなり険しい道。全くもって秘境である。雪は降っていないもののここは道を知らなかったらかなり運転が不安だろう。車で来なかったのはやはり正解のようだ。なお運転手をしていたマネージャーとかなり話し込んだが、野迫川村も人口減少が著しく、このままでは遠からずいずれ消滅する可能性もあるとか。マネージャーはかつては大阪で勤めていたというかなりやり手の方のようで、このホテルの経営にはかなり尽力されているようだ。ただ皮肉なことに地元の人間がホテルに就職しないと残念がっていた。地方に仕事がないから就職先がない。また仕事があったとしてもそれがよほど魅力的でないと、地元の若者は都会に出たがる。都会の人間の中に地方に魅力を感じる者がいても、当の地方の人間は都会に魅了される。いずこも同じ地方衰退のメカニズムである。やはり農林水産業が魅力のある仕事として成立する社会を何とか作れないものか。またその第一歩としての東京解体は待ったなしである。

 

 高野山駅に戻ってくるとケーブルで下山、特急こうやにのりついでそのまま真っ直ぐに帰途についたのである。

   特急こうや

 当初の目論見通りに「税金で豪遊しようツアー」という主旨に即した遠征であった。ただ計算違いは、ゆっくりとした骨休めのつもりだったのに、二日続けて完全な寝不足になった上に思った以上に移動がしんどかったこと。ただし「かしき鍋」はうまかった・・・。

 

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