展覧会遠征 大阪ライブ編31

 

 今年もいよいよ残りあとわずか。これが今年最後のライブである。今年は年末の第九は行かないでおこうと思っていたのだが、関フィルと読響については年間会員になったら自動的に第九がついてきた次第。と言うわけで今日はフェスティバルホールで読響の第九である。


読売日本交響楽団 第15回 大阪定期演奏会

 

指揮/マルクス・シュテンツ

独唱/アガ・ミコライ(ソプラノ)、清水華澄(メゾ・ソプラノ)、デイヴィッド・バット・フィリップ(テノール)、妻屋秀和(バス)

合唱/新国立劇場合唱団

 

曲目/ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱付き」

 

 いつもの第九とはかなり印象の異なる響きに戸惑った。大抵のこの曲の演奏は仰々しく重苦しいものであるのだが、妙な軽やかさを秘めた独特の淡泊な響き。どうもバイオリンがほとんどノンヴィヴラートで演奏していたようである。透明ではあるのだが、やや乾いた響きでもある。

 合唱の方もそれに合わせて比較的小編成でまとまりのある演奏をしてきた。いろいろな意味での虚仮威しを取っ払ったシンプル第九という印象。教会音楽を聴くかのように感じられた。

 とにかく今まで聞き慣れた第九とは全く別物の異色の演奏であった。ただし単に奇をてらったわけでなく、これはこれでありだと納得させられるもの。なかなかに興味深い演奏を体験することになった。

 それにしても読響はさすがにうまいというか、指揮者によって全く音色が変わってくるのだから実に器用なオケである。残念ながら関西のオケではこうはできまい。


 今更新たな発見も面白味もないだろうと考えていた年末の第九だが、思わぬところで思わぬ体験をすることになった。こういうこともあるからライブは面白い。

 

 

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