展覧会遠征 京阪編8

 

 先週辺りから怒濤のコンサートラッシュで財布にも体にもダメージが蓄積してとんでもないことになっている。それにも関わらずこの週末三連休も連続ライブということになってしまった。

 

 しかし体調は最悪というしかない。何しろ東京でひいてしまった風邪が回復どころかさらに悪化。のどをやられて全く声が出ないという状態に。チケットを予約してなかったら部屋で寝ているのが正解の状態なんだが・・・。

 

 土曜の昼頃に家を出ると大阪に直行。最初は大フィルの定期演奏会。

 


大阪フィルハーモニー交響楽団 第506回定期演奏会

 

指揮/尾高忠明

チェロ/宮田 大

曲目/尾高尚忠:チェロ協奏曲 作品20

   R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」作品40

 

 尾高のチェロ協奏曲は所謂現代音楽系と違って普通の聞きやすい曲。ただ曲自体にいささか冗長さを感じる。

 「英雄の生涯」については曲自体が結構ゴチャゴチャしたところがあるので、それがそのまま反映したような演奏。オーソドックスであって特に難はないのだが、ぜいたくを言えばもうひと味が欲しい。


 来年度から大フィルの音楽監督に就任する尾高のお披露目コンサートのようなところだったのだが、尾高の演奏については「無難」の一言で終わってしまってキャラクターが薄いように感じられた。ここのところ井上との組み合わせで結構名演が続いていただけに、この選択は正しいのかはいささか疑問もある。

 

 コンサートを終えるとホテルに入ることにする。ホテルは毎度のジーアールホテル江坂。途中のイオンで寿司を買い込んでこれが今日の夕食。どこかに出かける元気が全くなく、この日は入浴を済ませるとそのままかなり早めに就寝する。

  

☆☆☆☆☆

 

 

 昨夜は早めに就寝したにも関わらず、目覚ましに気が付かずに9時過ぎまで寝過ごしてしまった。慌ててもう仕舞支度に入っていたレストランに駆け込むと5分で朝食。その後はドタバタと身支度をしてホテルを出る。

 

 しかし体調の悪さは昨日以上。声は全く出ないし、もしかしたら熱も出てきているかも。丸ビルの地下で昼食に肉を食ったが、あまり旨く感じない。

 


エリアフ・インバル指揮ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団&五嶋龍

 

[指揮]エリアフ・インバル

[ヴァイオリン]五嶋龍

[管弦楽]ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団

 

<プログラム>

ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」より“前奏曲”と“愛の死”

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64

マーラー:交響曲 第1番 ニ長調 「巨人」

 

 一曲目のトリスタンはトリフォニーホールで聴いたのと同様に、分厚いサウンドでグイグイ押してくる。この辺りはさすが。

 五嶋龍をソリストに迎えてのメンデルスゾーンは、残念ながら五嶋の演奏が線が細すぎてオケに埋没してしまっている。オケの方も五嶋のバランスに合わせて抑え気味なのだが、それでも斉奏すると五嶋のバイオリンが完全に埋もれてしまって浮いてこない。そういう点でやや物足りなさを感じる演奏。

 巨人に関しては、さすがにインバルというか堂々たる鳴らしっぷりという演奏。ダイナミックな演奏なのだが決して雑にはならないというのは流石。ドイツサウンドの王道というような分厚い響きで、最後まで観客を圧倒する演奏であった。


 観客の半分以上は五嶋が目的だったのか、巨人の演奏中には完全に落ちてしまっている連中が結構いた。五嶋目当てのおばさま方には、巨人は長すぎる上に難しすぎる曲なんだろう。ああいう方々には多分「運命」ぐらいが限界に思われる。

 

 この日は江坂駅の近くの海鮮居酒屋に入店したのだが、寿司ご飯はパサパサ、アラ炊きは鮮度も味付けもイマイチ、デザートは冷凍庫から出したばかりのコチコチと散々だった。そもそも大阪で海鮮系を選んだのが間違いだったか。店を選ぶのもしんどくて適当に選択したのがミスだった。

 

 ホテルに入ると入浴してから部屋でグッタリ。そのまま夜になった頃にかなり空腹になってきたので、ホテルの近くにある「長崎チャンポン十鉄」に行く。注文したのはチャンポンと餃子のセット。チャンポンはあっさり目だが悪くない。餃子の方も合格点。今後使える店になりそうだ。

 部屋に戻るとベッドの上でグッタリ。そのうちにしんどくなってきて意識を失う。

  

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は7時前に目が覚めたので朝食。しかし体がだるくてどうにもならない。いよいよ本格的に体調がおかしくなっている模様。今日は京都までオペラ鑑賞だが、体調を優先するとどこかで寝ていた方が良いような状態。なるべく無理は避けるべきだろう。

 

 ホテルのチェックアウト時刻の11時ギリギリまで粘ってから京都に向かう。京都には昼頃到着なので、四条の「薩摩ごかもん」「ラフテー丼(980円)」を昼食に頂く。味はともかく、ラフテーが薄すぎ。

 昼食を終えるとロームシアターに移動するが、現地に到着したのは開場時刻の1時間前。ホール内のレストランでお茶しながら開場時刻まで待つことにする。

 ようやく開場時刻になって入場。ロームシアターは初めて来るが、やけに上に長いホールだなという印象。上には4階席まであるのだが、ホール自体は決して広くはない。おかげで上の階でもステージからの距離が比較的近いというメリットはある。私の安チケットは4階席の天井桟敷。とにかく天井が近いという印象。それにステージを見下ろすと、高所恐怖症の私には十分にパニック発作を起こさせかねない高さ。しかしそこは昔のガッテンのネタを思い出して「そのうち慣れる、そのうち慣れる」と心の中で呪文を唱えて深呼吸。実際に時間が経つと慣れてきて、どうにかこうにか落ち着いた。

左・中央 3階席はこんな感じ  右 4階席になるとここまで高い

 オーケストラピットを真上から見下ろすような感じなので、意外と音は抜けてくる。ただいわゆる響きはほぼ皆無。やはりホールというよりは劇場と言った方が正しい施設のようだ。


小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクト]X

ビゼー:歌劇「カルメン」

 

音楽監督・指揮:小澤征爾

指揮: 村上寿昭

(※指揮は小澤征爾、村上寿昭の2 名により振り分け)

管弦楽:小澤征爾音楽塾オーケストラ

合唱:小澤征爾音楽塾合唱団

児童合唱:京都市少年合唱団

 

カルメン: サンドラ・ピクス・エディ

ドン・ホセ:チャド・シェルトン

ミカエラ:ケイトリン・リンチ

エスカミーリョ:サシャ・ディハニアン

メルセデス:アレクサンドラ・ロドリック

ズニガ:河野鉄平

モラレス:タイラー・ダンカン

ダンカイロ: 町英和

レメンダード: 大槻孝志

 

 小澤は椅子に座りながらの指揮、時々立ち上がることもあったが動きは最小限である。ただその小澤の意を汲んで若き子飼いのオケが非常に鮮烈な元気な音色で演奏。ビゼーの派手で明るい曲調とも合ってなかなかの名演であった。

 歌手陣ではドン・ホセよりもエスカミーリョの方が圧巻。いかにも色男らしい堂々たる歌いっぷりでドラマを盛り上げていた。

 なお演出はカルメンの心の揺れや苦悩のようなものも垣間見せており、単純に尻軽の性悪女が男をたぶらかすというストーリーにはなっていなかったようだ。むしろ見方によっては、ストーカー気質の男につきまとわれた女の悲劇のようにも見えたり。なかなかに興味深い内容であった。


 まさか小澤の指揮を初めて見るのがここになるとは思わなかった。体力の関係で小澤の指揮は一部だが、それでも意外と振っていたなというのが正直な印象。しかも小澤の体力が落ちている分は、明らかに回りが意を汲んで自ら動いている。サイトウキネンオケなんかもこんな感じなんだろうか。

 

 今回は体調がヘロヘロだったので、コンサート以外はほとんどホテルで寝てるだけに近い遠征であった。コンサートの方はなかなか充実していたが、とにかく体調を建て直すのが急務である。年のせいか無理が効かなくなってきている。

 

 

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