展覧会遠征 北海道・青森編

 

 さあいよいよGW。今年のGWは北の大地に飛ぶこととした。北の大地の温泉でも巡りつつ、この地の宿題を解決しておこうという計画。ところで北と言えば現在某北の王国の馬鹿ボンが、アメリカの馬鹿大統領とチキンレースを展開中であるが、旅の途中でおかしなニュースが飛び込んでこないことを祈るのみ。それにしても体制維持に汲々として必死で虚勢を張り続ける無能な三代目と、低迷続きの支持率上昇のための最終手段として戦争をもくろんでいる馬鹿大統領。さらにはどさくさまぎれに念願の戦争に踏み切りたいと願っている馬鹿ポチ総理。どうも現在の世の中はろくでもない指導者(人を指導するような能力はないのだがら、そもそもこの言葉を使うこと自体が矛盾だが)には事欠かないようだ。こんな馬鹿共でも権力者が務まるのなら私でも十分可能な気がする。いっそのこと世界が私の意志の元に支配された方が人類にとっては幸福なのでは、などとショッカーのような発想が出てきそうになる。キルヒアイス、宇宙を手に入れたくなってきた・・・。

 

 いきなりろくでもない妄想が炸裂してしまったが、現実に戻ることにする。

 

 今回の出発は土曜日。まずは札幌まで飛ぶ前に大阪で関西フィルのコンサートである。土曜の昼前に家を出ると、大阪駅で軽く昼食を摂ってからザ・シンフォニーホールへと移動する。プレトークで飯盛が「連休の初日なのにこんなに多くのお客様に来ていただいて」と言っていたが、確かに連休の初日では実は微妙に邪魔な日程だったりする(これがなかったら、昨晩に札幌に飛んでいる)。そういえば去年もこの日だったような。

 


関西フィルハーモニー管弦楽団第282回定期演奏会

 

[指揮]飯守 泰次郎(関西フィル桂冠名誉指揮者)

[ソプラノ]澤畑 恵美

[メゾ・ソプラノ]池田 香織

[テノール]畑 儀文

[バス・バリトン]片桐 直樹

[合唱]関西フィルハーモニー合唱団

[管弦楽]関西フィルハーモニー管弦楽団

 

ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス ニ長調 op.123

 

 特別に難がある演奏ではないのだが、特別に印象にも残らなかったというのが正直なところ。ベートーベンにしては意外に曲調にインパクトがないせいだろうか。全体的に穏やかかつ無難に流れた印象があり、もっと激しく表現してきても良いように思われた。プレトークで飯守氏が、単に静かに神に祈るというのと違って、叩きつけているような表現という類いのことを述べておられたのだが、その話とのギャップをいささか感じてしまった。


 コンサート終了後は、札幌に飛ぶために伊丹に移動である。しかし今日は一曲だけのプログラムなので、いつもよりもコンサートの終了が30分ほど早かった。これが分かっていたらもう一便前の飛行機にしたのだが。私の予約した便は7時頃に出発して札幌に夜に到着する便。搭乗時刻まではまだまだかなり余裕がある。そこでかなり早めではあるが大阪で夕食を摂っておくことに。駅ナカの「利久」に入店して「タンシチュー定食(1566円)」を頂く。なかなかに濃厚な味である。なおタンシチューと言えばタンステーキのデミグラスソースがけのようなものが多いが、ここではそのタイプは「ぜいたくタンシチュー」となっており、通常のタンシチューはビーフシチューのタン版。私好みのシチューではある。

 とりあえず夕食を終えると空港バスで伊丹まで。ところで大阪駅には巨大なバスターミナルが新設されたのだが、なぜか空港リムジンはそこからではなく周辺のハービスや丸ビルから運行されている。高速バスとは違うという意味なのだろうか。

 

 空港には出発時刻の2時間前ぐらいに到着する。しかしもう夕食は済ませているし、空港内に特別な用事はない。さすがにGWか、空港内に人影が非常に多く、搭乗手続きカウンターを見れば大渋滞している。私はスキップサービスなので搭乗手続きはないが、この混雑がそのまま荷物検査場までつながったらたまらない。荷物検査場をのぞいてみたら現在の混雑はそれほどでもないようなので、今のうちにさっさと保安ゲートをくぐってしまうことにする。

 

 保安ゲートをくぐってしまうと暇で仕方ない。と言うわけで現在この原稿を出発ゲートで入力している(笑)。まだ搭乗時刻まで1時間はある。どうも私は空き時間をマッタリぼんやりと過ごすのは苦手だ。まだまだ人間が枯れていないのか。

 

 ようやく搭乗時刻。夜の便のせいか737の機内搭乗率は3割程度。楽で良いが、こんな便ばかりだったらANAがつぶれる(笑)。この人数だとこのサイズの機体は不要だと思うが、多分機体の回送も兼ねてるんだろう。

 

 新千歳までは2時間弱。機内でこの原稿を打ちながら時間をつぶしているが、やはり長い。

 

 疲れ切った頃にようやく新千歳空港に到着。さすがに札幌はやや肌寒い。それを警戒して一応ジャケットを持参しているのだが、それが正解だったようだ。

 

 新千歳空港から札幌までは快速エアポートで40分程度。ホテルは駅前にあるルートイン札幌駅前北口。とりあえず部屋に荷物を置くと花の舞で夕食第二弾にする。

 なんてことない居酒屋メニューだが、札幌で食べるとなぜかうまいんだな。

 

 夕食を終えると大浴場で入浴。疲れが出てきたところで就寝したのである。

  

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は8時前まで爆睡。目覚ましをかけるのを忘れていたのに、このぐらいの時間になると自動的に目が覚めるサラリーマンの悲しい習性。

 

 とりあえずバイキング朝食を摂ってからシャワーで目を覚ます。さて今日の予定なのだが、実のところはこれといったものはない。というのも、正直なところもう札幌でわざわざ訪問するべき場所がほとんどないのである。普通に考えると美術館だが、北海道立近代美術館で開催しているのは大原美術館展。何が悲しくて岡山県の今まで何度も訪問している美術館のコレクションを北海道で見る必要があるかというわけでこれはなし。

 

 うだうだ考えたあげく、とりあえず今まで行ったことのないところを訪問することにする。地下鉄を乗り継いで円山公園まで。ここにある北海道神社と円山動物園を見学してやろうという考えである。

  

動物園への地下通路には円山動物園の動物たちが・・・パンダはいないぞ!

 これらの施設がある円山公園は原生林もあるワイルドな施設だが、時節柄か花見ジンパの連中が大挙して繰り出している。北海道においての花見は、たとえ花がなくてもジンギスカンがあれば成立すると聞いている。これもある意味で北海道らしい光景ではある。

 

 北海道神社はこの巨大な林の奥。北海道最大の神社と聞いていたが、確かに大きな神社。敷地も広いが建物もでかい。

 

 神社の参拝を済ませると円山動物園に向かうがこれが結構距離がある。かなり疲れた頃に動物園に到着。

 特別に広いというほどの動物園ではない。ただそれよりもとにかく工事が多いのに驚いた。今はオフシーズンなんだろうか? あちこちが工事中だ。動物については特に珍しいと感じるものはあまりいない。あえて目玉を挙げるとするとユキヒョウ辺りか。なお動物園にしては飲食店がやたらに多いのも印象に残る。ただ動物園はどうしても獣の臭いが隠せないので、私は動物園内で飲食する気にはなれない。

 私の印象としては、旭山動物園などと違ってどことなくパッとしない空気と共に、何となく妙な気配を多々感じた。なお実はこの動物園では近年に動物の突然死が多発しており、中には虐待を疑われるような事例まで含まれているなどと言う話を知ったのは、かなり後日のことである。

 

 動物園を一回りした後は昼食のためにすすきのに移動。最初に立ち寄ったのは寿司屋の「すしざんまい」。北海5貫盛、本マグロ3貫盛、金目鯛、カンパチ、玉子と言ったところを一渡り頂く。なかなかにうまいが、これで支払いは2885円なのでやはり若干高い。

 さすがに寿司で満腹というわけにはいかなかったので、ラーメン屋にハシゴ。立ち寄ったのは近くのビルの中にある「もぐら」「味噌ラーメン(700円)」を頂くがこれもなかなかうまい。実は今まで札幌で当たりと感じるラーメンに出くわしたことがなかったのだが、ようやく当たりを引いたか。

 昼食を終えたところで市電でKitaraを目指す。今日はここの大ホールで千歳フィルによるメンデルスゾーンの交響曲第2番のコンサートがあるとのこと。本当は札幌交響楽団の演奏会でもあれば良かったのだが、そうそう好都合にコンサートがあるわけでもないので、今回はアマオケにしておくことに。

 


コーロ・ファーチレ&千歳フィルハーモニーオーケストラジョイントコンサート

 

指揮:加納昭洋

北広島混声合唱団(賛助出演)

 

メンデルスゾーン 交響曲第2番「讃歌」

 

 メンデルスゾーンの異端の交響曲だけに演奏機会がそう多いとは言えない2番を取り上げた演奏会。コーロ・ファーチレは古典の宗教曲を中心に扱っている合唱団であるとのことなので、元々古典派色の強いメンデルスゾーンの曲が、まさに古典的な宗教曲として響いている。合唱付きオーケストラ曲といっても、ベートーベンの第九のようにパワーで押し切るのでなく、美しいアンサンブルでまとめていったという印象。

 千歳フィルについては、やはりアマオケだけに管楽器などにところどころ危うい場面が見られたりしたが、それでも最後まで決定的な破綻はなく演奏をまとめきったというところ。珍しい曲を楽しませてもらった。


 

 コンサートを終えると市電で移動。狸小路に立ち寄るが、さすがにまだ夕食には時間が早いので、札幌名物の広大な地下道を散策がてらプラプラとホテルまで歩いて帰ってくる。札幌駅でおやつにぽっぽまんじゅうを購入。

 札幌の地下道は広い

 ホテルに戻ると先ほどのぽっぽまんじゅうを頂きながら一息。いわゆる普通の蒸しまんじゅうなのだが、なぜか札幌で食うとこれもうまい。

 

 ホテルに戻って来たは良いが、とにかく疲労が著しい。札幌に来るととかく歩かされるが、今日は既に1万7千歩を超えている。完全に足腰がヘロヘロである。とりあえず大浴場で入浴して足腰をほぐしておく。

 

 しばし部屋で休息をとってから、改めて夕食のために外出する。と言っても遠出をする気にはなれない。結局は駅ビルの大丸のレストラン街をウロウロして「赤クマ食堂」に入店。「ビーフシチューのオムライス(1150円)」を注文。

 ビーフシチューの味は私好み。ただオムライスの味付けが薄味なので、ビーフシチューの味に負けている印象。

 

 夕食を終えると駅ビルの38階の展望台に登ってみることにする。入場料が結構高い(720円)ので迷ったが、ここで少々ケチっても仕方ないと考える。既に夕闇が迫っている夜景は思いの外面白い。ただある程度は覚悟していたが、やはりこういう場所は男独り者には強烈なアウェイムードがある。救いは「恋人たちの聖地」とかのあからさまなそういう演出がないこと。なおここの男子トイレが開放感抜群として有名なのだが、用を足しながら夜景を眺められる構造になっている。ただこれを開放感があると感じるか、落ち着かないと感じるかはその人次第。

 夜景を楽しんでからホテルに戻ってくると、もう一度入浴したりしてこの日はマッタリと過ごす。

  

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は7時半に起床すると朝食。今日は定山渓温泉に移動予定だが、ホテルからの送迎バスが札幌駅前から出るのは午後2時。ホテルのチェックアウトが10時なので4時間の余裕がある・・・のだが、今日は昨日以上に何の予定もない。

 

 とりあえずキャリーはホテルで預かってもらっておいてからチェックアウト。で、もうこれで札幌で行くところと言えば後はテレビ塔ぐらいしか思いつかない。昨日駅ビルの展望台に行っておいて、今日はテレビ塔とは全く芸のない話ではある。何とかと煙は高いところに登りたがると言うが、そもそも私は高所恐怖症である。

 

 地下鉄で大通りに移動すると地下づたいでテレビ塔へ。3階でチケットを買うが、事前に焼きコーン付きの割引券を入手しているのでそれを使用。

  ガラス張りのエレベーターはいささか気持ち悪い

 3階からはガラス張りのエレベータで展望台へ。しかしこれが結構怖い。また到着した展望台は「狭い」というのが正直な印象。その狭い室内に構造の鉄骨がむき出しなのでさらに狭さに拍車をかけている。また斜めになっているガラス窓が結構恐怖を引き起こす。

左 内部はかなり狭い  中央 その名も「怖窓(こわそう)」という窓  右 眺めは良いんだが・・・
 

 この塔は日本の塔博士こと内藤多仲の作品である。彼による塔六兄弟(ウルトラ六兄弟)の中で四男(帰ってきたウルトラマン)にあたり、別府タワー(ウルトラセブン)の弟で東京タワー(ウルトラマンエース)の兄貴になるそうだ。言われてみれば何となく思い当たる。

このおっさんキャラがテレビとうさん。プリクラから神社まである。
 

 ところでテレビ塔のマスコットキャラが「テレビとうさん」というおっさんキャラ。何かどこかで見たことがあるような気がしていたのだが、全体から漂うおっさんムードがそのままサンテレビの「おっさんテレビ」を連想させることに気づいた。キャラデザインとしては全く類似してはいないのだが、雰囲気が類似しすぎということである。

 

 テレビ塔の見学を済ませて降りてくると、大通公園の出店で先ほど受け取った焼きコーン券をハーフサイズの焼きコーンに引き替え。甘くてうまい。札幌で食うとただのトウモロコシでもこんなにうまいのか?

 

 この後は昼食を摂る店を探すことも兼ねてプラプラと散策。ただどうも今一つピンとくる店がない。結局面倒になってきたので「鳥一心」の昼食ブッフェに入店。焼鳥や寿司など一渡りを食べて30分ほどで出てくる。

 札幌駅まで戻ってくるがまだ1時間ほど時間がある。大丸をのぞいたら7階でオルセーコレクションの複製画展があるというからそれをのぞくことにする。

蒼々たる名画の複製たち

 所詮複製は複製なのだが、それでも近年はその技術がかなり上がっていることを感じる。特に色調の再現がかなり良くなっており、遠目に見たら一瞬では違いが分からないほど。さすがに間近で見ると絵に立体感がないので違いは一目瞭然ではあるが。ちなみに私は今まで「オルセー展」の類いにしょっちゅう出かけているせいか、本展展示作のかなりの部分は本物を見たことがあることに気づいた。結構今までいろいろな作品が来日しているようである。ちなみに私の一推しはやはりルノワールによるダンスシリーズである。これの本物を見た時の感動は今でも覚えている。

 

 やはり本物には本物にしか呼び起こせない感動というものがあるが、地方の美術館などが有名画家のイマイチな作品を所蔵していたりするのに比べると、むしろこれら名画の複製の方がある種の感動を呼び起こせる可能性もあるかも知れない。場合によってはこういう展覧会もありだろう。

 

 展覧会をグルッと回ったところでそろそろバスの時刻が近づいてきた。札幌駅北口のバス乗り場へと移動すると、ホテルのスタッフが待ち構えている。大きなバスが一台止まっているが、結構乗客も多い。かなり大きなホテルのようだ。

 

 定山渓温泉には50分ほどで到着する。今日の宿泊ホテルであるミリオーネはかなり巨大なホテル。先ほどのバスの乗客はすべて宿泊客であるが、これ以外にも日帰り入浴客も多数訪れているようだ。ここはサービスを簡略化してコストを抑えている最近多いパターンのホテルのようである。確かに過剰サービスのホテルもあるので、現代はこのぐらいの方が手頃だろう。

 

 部屋は結構広いなかなかのもの。とりあえず荷物を置くと何はともあれ大浴場へ。大浴場は複数の浴槽のある大規模なものだが、源泉掛け流しと書いてある和風浴槽と露天風呂を中心に入浴。泉質はナトリウム塩化物泉とのことだが、ベタベタ感はあまりない。黒っぽい着色が見られるがマンガンによるものとのこと。なめてみるとしょっぱさよりも渋みの方がある。マンガンのためだろう。

 

 風呂上がりにはご当地サイダーの河童サイダーを頂く。ご当地サイダーによくある素朴な味である。

 

 一息ついたら温泉街の散策に出ることにする。定山渓温泉は川の両岸に巨大ホテルが林立する温泉街で、建物が断崖にへばりついている。この温泉は何やら河童と由来があるらしく、公園内には河童大王の像があるし、温泉街のシンボル自体が河童のようだ。公園からさらに西に進むと吊り橋があるが、これは鉄製のしっかりしたもので恐怖感は皆無。それはともかくとしてこの橋はどこを結んでいるのか目的がはっきりしない橋だ。渡った先の道は放置されて完全に崩れてしまっていて先に進めない。単なる観光橋?

左 北海道三景之碑  中央・右 渓谷の両岸に巨大ホテルが林立する

左 町外れにある吊り橋  中央・右 橋の上からの眺めは良いが、この橋の先は何もない

左 カッパ大王  中央・右 あっちにもこっちにもカッパ

 温泉街を散策してホテルに戻ってきてしばらくすると夕食の時間。実際に歩いてみた定山渓温泉街は大型ホテル中心で飲食店が皆無であった。事前にグーグルストリートビューの調査でこの辺りは予測済みだったために夕食付きのプランを選んでいたのだがやはり正解だった。昨今は現地の情報収集の方法がいろいろあって助かるが、その代わりに新鮮な刺激は減るという副作用がある(ストリートビューなどはあまり見過ぎていると、初めて来た場所なのに一度来たことがあるような気がしてしまう)。ヴァーチャルの進化がリアルの感動を薄めることがあるということで、これは現代人病の一つの側面である。

 

 このホテルは夕食はバイキングが基本なのだが、私は正直なところバイキングはあまり好きではない(ファミレスっぽい内容が多いために旅情を削がれることが多い)ので居酒屋夕食のプランを選んでいる。

 居酒屋夕食と銘打っているが、何も飲兵衛メニューというわけでなく、いわゆる普通の旅館の和食夕食メニューである。やはり私はこちらの方が相性がよい。味もなかなか良いし、夕食を堪能するのである。

 地元飲料でマッタリ

 夕食を堪能した後はまた入浴してマッタリ。札幌をうろつき回って疲れも結構あるし、この夜は早めに就寝する。

  

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は7時半に起床するとバイキング朝食に出向く。レストランは席の確保が大変なぐらいの大勢でごった返している。朝からメニューも豊富。とりあえずガッツリと食べておくことにする。

 

 朝食後は入浴。湯の温かみが体にしみ入る感触。入浴後にはしばらくマッタリと過ごす。なかなかに良いホテルであった。いささか名残が惜しいが今日は次の目的地へ移動である。今日の予定だが、11時のバスで洞爺湖温泉に行くことになっている。バス停はホテルからすぐのところにあるのは確認済み。

 

 ホテルのチェックアウト時刻は10時なので一旦チェックアウトを済ませてから、ホテル内のパン屋でクロワッサンを頂きながらしばし時間をつぶしてからバス停に向かう。

 

 しばしバス停でボンヤリとバスを待っていたが、時間の確認のために時刻表を見た時に「完全予約制」の文字が目に飛び込んでくる。しまった!予約なんてしていない。バスの運行がなかったり乗車を断られたりしたら進退が窮まってしまう。慌てて時刻表に書いてある電話番号に電話。とりあえず空席はあるとのことで何とか乗車できることになる。これは焦った。

 

 数分後にバスが到着。さすがに札幌から洞爺湖温泉まで3時間弱を走るバスだけに、路線バスと言いながらも車両は4列高速バスタイプでトイレ付き。驚いたのは座席がほぼ埋まっていたこと。危ないところだった・・・。

  日本の風景とは思えない中をバスは進む

 バスはとても日本の光景と思えない中を延々と走っていく。途中、中山峠の道の駅で10分の休憩。正面に富士を思わせるような美しい円錐型の山が見えるが、これは羊蹄山らしい。

  

中山峠では羊蹄山が正面に見える

 近くに見える山が羊蹄山から尻別岳に入れ替わるとようやく洞爺湖の手前。険しい外輪山を越えると湖が見えてくる。結局は洞爺湖温泉までは2時間弱。結構疲れた。

左 険しい山容の尻別岳  中央 外輪山を越えると  右 洞爺湖
 

 洞爺湖温泉に到着すると、とりあえずホテルに荷物を置きに行く。今回宿泊するのは「ごきらく亭」。ただホテルに到着したと思ったらフロントが閉まっていて、ご用の方は裏の湖畔亭へとの表示が。ごきらく亭と湖畔亭は共にこの地でホテル経営を行っている野口観光の施設で、湖畔亭がいわゆる普通の豪華温泉旅館。ごきくら亭が私のような貧民向け施設である。やはりこちらは極力省力化をしているようだ。仕方ないので湖畔亭を訪れて荷物を預かってもらう。

  ごきらく亭

 身軽になったところで温泉街に昼食に出る。昼食を摂る店は事前に調査済み。「望羊蹄」なる老舗の洋食屋があるとのことなので、そこに行くことにする。しかし私が到着した時点で既に満席。複数の待ち客がいる状態。しかし他に当てもないのでしばし待つことにする。

 

 20分ぐらいで入店できる。300グラムのハンバーグのセットを注文する。かなり待たされた後に肉厚の熱々のハンバーグが登場。なかなかジューシーでうまい。またやや甘めのソースが私好み。

   

 昼食を終えた後はあまりにベタな観光コースではあるが、洞爺湖遊覧船に乗ることにする。遊覧船は30分に1本というかなりの高頻度で運航されており、中島で途中下船することも可能。湖の向こうには羊蹄山も見えておりなかなかの風景。

遊覧船が出た直後だったので、湖岸でしばし次の船を待つ

30分後にようやく次の船が到着、こちらはいわゆる普通の遊覧船
 

 中島に到着すると森林博物館を見学。中島にはエゾシカが繁殖しているとのことだが、エゾシカの標本がやたらに多い。ちなみにこのエゾシカは外から持ち込まれたものであり、島で生まれたエゾシカはそのまま島で一生を終えるらしい。昔は山から下りてきたエゾシカが辺りを闊歩していたらしいが、事故でもあったのか今は回りは動物除けフェンスで囲ってある。山に登ろうと思ったらゲートをくぐらないと行けないようになっている。

左 羊蹄山が近くに見える  中央・右 中島の港に回り込む

左 桟橋で上陸  中央 森林博物館  右 エゾシカの標本

左 山に行くにはゲートを通る必要があり  中央 神社がある  右 洞爺湖八景の碑

 

 30分後に到着する次の便で戻る。今度は正面に有珠山や昭和新山などが見える荒々しい風景。

次の船が到着

左・中央 正面には昭和新山や有珠山の見える荒々しい光景  右 中島を後にする

 港に戻るとホテルに向かう。湖畔亭で荷物を回収してからごきらく亭にチェックインすると、とりあえず湖畔亭の展望大浴場に入浴に行く。羊蹄山が正面に見える絶景風呂。泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉とのこと。広い内風呂に入ってから露天の陶器風呂に入ったのだが、こっちの方が泉質がよいのではと感じたら、後で確認したらここだけが源泉掛け流しらしい。

  湖畔亭

 風呂からあがるとしばらくマッタリと過ごす。夕方になってきたところで夕食のために外出。洞爺湖温泉街を散策した時に、「海鮮ダイニング龍」なる店を見つけていたのでそこに入店する。

 

 入店すると「ホッキ丼」を注文。私は元々ホッキ好きだが、肉厚のホッキが絶妙に美味い。なぜか関西ではこの貝を目にすることがほとんどないのが寂しいところ。

   

 ホッキ丼を堪能したが、どうもまだ腹がやや空いているのでさらに「ホタテの刺身」を追加する。サービスでライスをつけてくれたので、これでガッツリと頂く。刺身も新鮮で美味い。満足して夕食を終了する。

 

 夕食を終えてホテルに戻ると、こんどはごきらく亭の浴場で入浴することにする。こちらは眺望も何もなく内風呂浴槽が一つあるだけのシンプルな浴場だが、源泉は掛け流しになっているようで、他に入浴客があまりいないこともあって湯がかなり新鮮。しっとりとした肌触りを楽しむことが出来る。多分源泉は湖畔亭と同じだろうが、純粋に湯だけを楽しむのなら湖畔亭よりもこちらの方が正解であるようだ。

 

 夜が更けてくると洞爺湖花火大会が始まるのでそれを見学に表に出る。あちこちのホテルから宿泊客が湖岸に繰り出してやんやの盛り上がり。また遊覧船もこの時間に合わせた花火船がでているらしい。

左 花火船  中央・右 どうやっても花火は上手には撮れない
 

 カメラ持参なのだが、どうも花火の写真はうまく撮れない。何度やってもこれだけはどうにもうまくいかない。

 

 花火を堪能した後は、小腹が空いたので近くの「ラーメンのめん恋亭」に立ち寄る。味噌ラーメンを注文。まあオーソドックスな普通のラーメン。もう少し味にパンチが欲しいところか。

 

 ホテルに戻ると冷えた体を風呂で温めてからこの晩は就寝する。

  

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は7時半に起床すると朝食。朝食はシンプルであるがまあこんなもの。シャワーで目を覚ますとチェックアウトまでしばしグダグダと過ごす。昨晩はよく寝たつもりだが、それでも体中に疲労が残っていてとにかく体が重い。やはりここのところ連日1万5千歩ほど歩いているのでそれが体に堪えているんだろう。

  シンプルな朝食

 今日は函館への移動だが、洞爺駅行の路線バスはホテルの近くから10時前に出発する。これとスーパー北斗を乗り継いで函館を目指す予定。不安はバスから列車への乗り継ぎ時間が10分もないこと。バスが遅れないことを祈るのみ。

 

 バスは定刻通りに到着。しかし車内は大型トランクを持った中国人団体で満杯。洞爺駅まで立ち続けを余儀なくされる。しかもここに途中の停留所でさらに同様のアジア人団体が大挙して乗り込んで来て、車内は身動きもしにくい状態に。しかも洞爺湖温泉バス停ではとうとう積み残しが出る始末。

 

 それでも洞爺駅には大体時間通りに到着する。しかしここでまた混乱。なぜか駅舎の中が身動きもしにくいほどの大群衆で大混乱。何が起こっているのか戸惑うが、どうやら豪華観光寝台列車「四季島」が来るのでそれの歓迎のためのようだ。こちらに来てからテレビニュースを見る度に四季島のニュースを目にしていたのだが、まさかこんなところでニアミスするとは。

  ホームは大混乱していました

 ホームにはブラスバンドまでスタンバイしているという大騒ぎ。歓迎用の旗を持った地元民と撮影用のカメラをぶら下げた鉄オタが入り交じっての大混乱である。私は函館行きのチケットは事前に駅ネット予約で確保していたのだが、それの受け取りを当日の洞爺駅にしていたら間に合わない危険を想定し、定山渓温泉に行く前に札幌駅で既に発券していたのだが、それがここに来て正解だったようだ。事前予測に基づく危機管理の成功事例という奴である。また「なぜその能力を仕事に活かせない」という声がどこかから聞こえてくる気がする・・・。私の人生を一言で総括すると、才能と能力の無駄遣いということに尽きるらしい。

 

 スーパー北斗は四季島が到着する前に洞爺駅を出発する。四季島を見てみたい気もないではなかったが、鉄道マニアではない私がそのためにわざわざ列車を一本遅らせることもなかろう。予定通りに函館を目指す。

  四季島が到着する前にスーパー北斗で出発

 車窓の風景は今までの湖越しの羊蹄山から海越しの駒ヶ岳に変化している。列車はこれからしばし海沿いを走行することになる。私も今までこの行程を何度かたどっているが、洞爺湖からでなく登別からが多かった。とにかくこの路線は混雑する路線だが、今回も車内は満杯だ。実際にこの列車のチケットは一週間前に手配しようとした時には売り切れで、一昨日の切符の発券前にもう一度確認したらようやく空席が出ていたので急遽変更した次第。

 

 やがて海越しに遠く向こうに見えていたのが駒ヶ岳から羊蹄山に代わると函館が近づいてくる。

 

 満杯の乗客が一気に減少するのは新函館北斗駅。札幌方面からここで新幹線に乗り換える乗客がかなり多いようだ。ただこの駅の場所は函館を名乗るのはあまりにインチキと言えるぐらい函館から遠い。

 

 それにしてもスーパー北斗はよく揺れる。車両の構造にもよるのだろうが、それ以上に路盤の管理が悪いのだろう。JR北海道では脱線事故が相次いだが、明らか保線がうまくできていないのを感じる。数年前に来た時よりも明らかに状況はさらに悪化している。幹線とも言える路線でこのざまでは、後は推して知るべしだろう。

 

 ようやく函館駅に到着。しかし異常に観光客が多い。とりあえず昼食を摂ろうと函館朝市に行くが、観光客が多すぎて話にならない。以前に何度も行っている「むらかみ」を訪れたが、店の外まで大行列。また私がよく注文していたB級定食はメニューから消えていた。これはダメだとあきらめて朝市を後にする。

  函館駅に到着

 とりあえずまず荷物をホテルに預けることにする。市電の一日乗車券を購入して湯前温泉を目指すが、この市電がまた押し合いへし合いの大混雑。五稜郭公園で大量降車があるまではこの状態。

  函館と言えば路面電車

 今日泊まるホテルは湯の川温泉雨宮館。普通のビルの上に展望台のようなものがついた妙な形のビルだ。思わず「函館空港の管制塔?」と思ってしまうような形態。とりあえず荷物だけ預けて五稜郭に昼食がてらに桜見物にでも行くことにする。

  ホテルの建物(撮影は夕方)

 昼食は五稜郭近くの店でいくら+うに丼。どうも店内はてんやわんやしていて、メニューを間違うわ、出てきたざるそばはそばつゆが空だわと散々な対応。完全に「ハズレ」店なのだが、それでも丼の味は東京の普通の店よりも良いというのが函館の恐ろしいところ。

  薬味の蓋を取ると、そばつゆが空だったのは笑うしかなかった

 昼食を済ませると五稜郭を散策。五稜郭タワーでも登るかと思ったが、チケットの購入に15分待ちとの表示を見て断念。結局は徒歩で五稜郭内を一回りすることに。桜の本数の多さもさることながら、立体的な配置になっていることがなかなか。確かに桜の名所ではある。

五稜郭は見事に桜が満開

函館のイケメン

 ただ今までの疲労もあって異常に疲れた。散策のうちにホテルのチェックイン時刻になったのでホテルに戻ることにする。当初予定では元町辺りの見学も考えていたが、明日以降のことを考えるとここで行動力を使い果たしてしまうのは得策ではない。

 

 ホテルはビジネスホテルに温泉銭湯が内蔵されているといった造り。件のスカイラウンジは閉鎖されており、何のために存在するのかが不明の状態。正直なところホテル全体に寂れムードが漂っている。

 

 チェックインするとまず入浴する。湯はナトリウム・カルシウム−塩化物泉。やや塩っぱい湯である。肌当たりはなかなか良好。ナトリウム系にしては意外にべたつかない。この湯でとりあえずしっかりと疲れを抜いておく。

 

 夕食は近くの寿司屋「さかえ寿司」の寿司セットの夕食がついている。寿司はまあまあだが、意外と付け合わせのホタテなどの料理がうまかったりする。

 

 とにかく疲労が強い。ホテルに戻るとしばらく部屋でゴロゴロしていたが、やることもないので早めに就寝する。

  

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は7時に起きるとすぐに朝食。8時にはホテルをチェックアウトする。今日はレンタカーで道南の城郭を回る予定。これが北海道で残っていた宿題であり、謂わば今日が本遠征の主題。

 

 函館駅前の日産レンタカーで貸し出されるのはマーチ。パワー不足の上に重心が高く、足まわりが弱いのでカーブの度にフラフラとする。相変わらず運転しにくい車だ。

 

 まずは一番近くの目的地へ。目指すは函館空港の南にある「志苔館」。中世の城郭で室町時代に道南に十二あった和人の館の一つであるらしい。小林氏が館に居住していたが、1456年には近くでアイヌの蜂起があり、志苔館はその時に攻め落とされている。その後、再び小林氏が居住したものの1512年にまたアイヌの蜂起があり、志苔館は陥落、館主の小林彌太郎良定が討ち死にしたとのこと。小林氏はその後に松前藩に従属し、志苔館は廃館になっている。

 現地は発掘調査と保存が行われたようで、建物の跡などが残されている。周りは土塁で固めており海沿いの小高い丘の上なので、城塞というほどではないが普通の館よりは防御は固い。また入口側は二重の土塁で守備を固めている。土塁の中は4100平方メートルの広さの長方形で、複数の建物があったようである。

左 入口  中央 二重に堀切がしてある  右 土塁上から入口方向を見下ろす

左 土塁に囲まれた中に建物跡が  中央 土塁の周囲は切り立っている  右 そこに見える函館空港(どこかホテルの建物に似ている)
 

 なかなかに見応えのある城郭で、北海道城郭巡りもなかなか順調な滑り出しだ。次は少し足を伸ばして松前藩戸切地陣屋跡に出向くことにする。

 

 「戸切地陣屋跡」は函館茂辺地道路の北斗中央ICで降りて、道道96号を北上したところにある。辺りは公園整備されているようで花見の名所になっている模様。私が到着した時も広い駐車場に多くの車がやって来ていた。

 

左 入口  中央 縄張り図  右 土塁と堀がハッキリと残っている

左 入口をくぐった途端に目隠しの土塁  中央 土塁の内部はかなり広い  右 砲台部分は土塁に切り込みがある

 戸切地陣屋は1855年に幕府の命で松前藩が築いた陣地である。四稜になっていて東の稜の先端に6つの砲座がある。周囲は土塁と堀で守備してあり、五稜郭に似た構造になっている。17棟の建物が内部にあり、約120人の守備隊がいたらしいが、1866年の箱館戦争の時に敵方に使用されないように火が放たれたとのこと。

 保存状態は非常に良く、土塁と建物跡が残っている。現在は国の史跡に指定されているとか。内部はかなり広く、実際に戦闘になった場合には120人でここを守り切るのは無理だろうと思われる。だから幕府軍の進撃に対して、守備隊は火を放って撤退したのだろう。

 

 戸切地陣屋の次は海沿いの松前国道を南下、「茂別館」を目指す。茂別館は海近くの丘陵上にあり、現在は神社となっている。

 

 茂別館は1443年に津軽十三湊城主・安東太郎盛季が館を作ったのが始まりと言われている。大館と小館の2つからなるが、川や崖に守られた堅固な地形となっており、東側には高い土塁が築かれている。

左 東側は土塁で囲われている  中央 本体は神社になっている  右 案内看板
 

 土塁の外に作られた町道から回り込むと車で城内に入ることが出来る。南部は神社の参道を作るのに地形が改変されているが、それでも元々は結構険しい崖だったことが覗える。西側の小館の部分は鬱蒼として踏み入るのは躊躇われるが、大館の一段低い位置に削平地があるらしいことは確認でき、ここも南部はかなり急な崖である。

   

神社の西側は鬱蒼としており、その先に何かありそう(多分小館)だが、とても踏み込めない

 志苔館と同様の「防備を固めた館」という構造である。この時代にはこのような形式が和人館の標準形だったのだろう。

 

 ここからは長駆、木古内から道道5号経由で日本海側に出ることにする。途中の木古内の道の駅で昼食でもと思ったのだが、駐車場に車を入れられないほどの大混雑。食堂の前も長蛇の列という状態で、エビバーガーと豆あんパンを購入して腹に入れるのがやっと。少々頼りない腹を抱えたまま山間の道道を長距離ドライブとなるのである。

  何もないところを延々と走る

 かなり疲れた頃に上ノ国に到着。ここには花沢館と勝山館という2つの城郭がある。まずは花沢館に立ち寄ることにする。

 

 「花沢館」は勝山館もある山並みのやや手前に位置する城郭。斜面の手前を断ち切って城郭にしてある。現地に行けば入口の看板もあるのだが、残念なことに駐車場がない。前の道に車を置きたくなるところだが、しっかりとここは駐車禁止。しかもパトカーが巡回中。こんなところでポリにカモられるとたまったものでないので、車は少し離れた裏道のところに置いておく。

  

左 登り口  右 進んでいくと右手に削平地が見えてくる

 入口の看板から登ると2,3分で何段かの削平地に出る。ここが一番広い削平地で案内看板も立っている。花沢館は志苔館などと共に道南12館の1つであり、津軽の安東氏が茂別館に下之国守護、大館に松前守護、花沢館に上之国守護をおいて支配していたという。

左 L字型の広い削平地に出る  中央 左手を見てみる  右 登ってきた方向を振り返って
 

 この削平地から背後の斜面の上にもさらに削平地があり、ここが最高所。なかなかの見晴らしである。なお背後の尾根筋には堀切を切ってある。ここは地形が急な分、志苔館や茂別館よりも正面からの攻撃には強そうだが、尾根筋伝いの背後からの攻撃が弱点となりそうである。

左 削平地の奥にさらに高台が  中央 登っていく  右 最高所に削平地がある

左 奥は土塁上に小高くなっている  中央 背後の高地を望む  右 背後の尾根筋を堀切で断ち切ってある
 

 花沢館の見学の次は勝山館に向かうが、その前に途中の道の駅もんじゅに立ち寄り昼食を摂ろうと考える。しかし2階のレストランは混雑していて入店に大分待たされた挙げ句、入店後もかなり待たされて無駄に1時間以上をロスする羽目に。厨房の速度が遅すぎて全く間に合っていないのである。以前に九州の道の駅でも同じ目に遭ったことがあるが、これだから地方の道の駅は・・・。救いは出てきた天丼自体はまずまず美味かったこと。

  

窓からの風景は抜群で、天丼自体も悪くはなかったのだが・・・。

 思わぬ時間ロスで見学時間が不足気味になってきたので勝山館に急ぐ。勝山館は花沢館の背後の山上にある。手前にガイダンス施設があるので、一回りして見学。この辺りは勝山館に限らず、それ以前の遺跡なども大量に発掘されているらしい。

左 ガイダンス施設  中央 勝山館の模型  右 この周辺はこの手の墳墓が多数発掘されたらしい
 

 「勝山館」は15世紀後半に松前氏の祖である武田信広が築いた山城である。16世紀末頃まで武田・蠣崎氏の拠点であったという。なお発掘の結果、和人とアイヌ人が混在していたことが明らかとなっているなど、この時代の北の大地の状況を語る貴重な遺跡であるとのこと。

左 ガイダンス施設から降りていく  中央 背後の丘陵には墳墓群  右 一番上の門(搦め手)は厳重

 勝山館は背後に夷王山墳墓群を控える山の斜面に築かれている。背後を守る堀切を越えると広い削平地に出る。斜面を削平して、そこに多くの建物を建てていたようである。現在は建物跡と周囲の柵を復元してある。背後と前方は堀切で、東西は断崖で守られているので防御は固い。

左・中央 搦め手を入ってすぐに館神八幡宮跡がある  右 下に降りていく
 

iPhoneを使用してのパノラマ撮影(やや歪みが強い)

階段状の地面に建物跡が並ぶ

  

周囲は柵で囲われている

 二重の堀切を越えると下の削平地がある。こちらは上よりは狭いがそれでもそこそこの面積がある。この削平地の先は土塁で守ってあり、そこから麓につながる通路が延びている。

下の段との間は二重の堀切で厳重に守られている

左 下の段も広いが未整備  中央 一番南の土塁の切れ目は門跡か  右 ここから麓まで道がつながっているようだ
   

 やはり「防御を固めた館」という趣であるが、今までの館の中では一番防御が堅固なように思われた。また花沢館が出城的に位置にあることを合わせて考えると、やはりこの地域を抑える大拠点であったことが覗える。

 

 もう既に夕方になってきた。北上して江差を通り抜けて国道227号で函館に戻る。既にかなり疲労が溜まっているのでこの行程は結構しんどいものがあり、気を引き締めてかからないと事故になりかねないところだった。

江差の街並み
 

 レンタカーを返却するとホテルを目指すことになる。今日宿泊するホテルはルートイングランティア函館五稜郭。本当は函館駅前の方を取りたかったのだが、空きがなかったのでこっちになった次第。しかもGWの特別価格。と言うわけで、実は今回の遠征において料金だけで判断したらここが一番の高級ホテル。確かに夕食なしでこの価格は少々納得しがたいところではある。

 

 ホテルにチェックインすると何はともあれ温泉大浴場へ。ここの浴場は含鉄ナトリウム塩化物強塩泉とのこと。赤っぽい着色があり、かなりしょっぱい湯。

 

 入浴してゆったりしたところで夕食に出かける。以前に訪問したことがある寿司店を訪問するが、表まで大行列。閉店時刻まで1時間ほどだというのに50人ぐらいは待ち客がいるという異常事態。しかもどうも中にはアジア人も多数いる模様。これは話にならないと諦めることにする。

 iPhoneで夜桜を撮影したらなぜかカラーバランスが滅茶苦茶

 結局は行くところもなくウロウロした結果、ホテルの向かいの中華料理屋で塩ラーメンと焼きめしのセットを食べるが、どうも味が薄すぎて私の好みとはかなりずれる。これは大失敗。

   

このラーメンはイマイチ

 夕食の大失敗でやるせない気分を抱えながら辺りを散策。どうも気分的にはこのまま終われない感じ。そこでせめてご当地バーガーでも食べようかとラッキーピエロを訪れてみる。さすがにこの時間になると行列はなくなっていたが、注文品を待っている客が多数いるようで、結局は商品受け取りまでに30分程度かかることに。

   

ラッキーピエロに入店する

 私がラッキーピエロで購入したのはエッグバーガートンカツバーガー。ホテルに帰ってからこれらを頂いたが、さすがにうまい。ただボリュームがあるので腹が重い。最初から夕食をこれにしておけば良かった。

とにかくボリュームタップリのバーガーです
 

 少々重い腹を抱えて再び入浴。今日はかなり体のあちこちが痛くなっており、特に右肩の痛みがひどい。そこで明日に備えて体をきちんとほぐしおくことにする。

 

 風呂から上がるとグッタリと疲労が出る。明日は早い出発になるので早めに就寝する。

  

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は6時に起床すると朝食を摂ってから7時半頃にはチェックアウトする。今日は北海道新幹線で青森に移動する。これは新規に開通した北海道新幹線の視察も兼ねている。

  朝の函館

 函館駅からはこだてライナーで新函館北斗駅まで移動。この列車はそもそも北海道新幹線との接続用快速なので、降車客の大半が新幹線改札へと移動する。新幹線改札はすぐ隣で、二階に待合室などがある構造。なお現在は北海道新幹線の終着駅だが、札幌まで延伸予定であるので、駅の構造がターミナルではなくて途中駅の構造になっている。新幹線の駅としてはかなり小さめ。

はこだてライナーから新函館北斗で新幹線に乗り換え

 土産物を少々買い込んでから乗車。車両は緑色主体の北海道新幹線カラー。ただ内部は東北新幹線と変わらない。駅を出た新幹線は、田んぼの中を大きくカーブして進みながらやがては山に突入する。今時の新幹線のお約束のトンネル連続を抜けると木古内。木古内を過ぎると大小トンネルの連続を経てから青函トンネルに突入。今の青函トンネルと新幹線と貨物列車を同時に通すために三線軌条(三条軌)になっているとのこと。青函トンネルを抜けると本州到着。ここの部分はかつての津軽線は地上を走っていたのだが、新幹線はお約束のように山の中をトンネルで真っ直ぐ突き抜けていく。ようやく地上に出ると山際を新青森に向けて直線走行。

  車内はそこそこの混雑

 ようやく新青森に到着。これで北海道新幹線視察終了ということで、先の仙台地下鉄と合わせて新設路線の視察完了となる。

 

 新青森駅に降り立つが、相変わらずこの周辺はあまり何もない。もっともそれでも数年前に訪れた時よりはまだマシになっているか。とりあえずここからはレンタカーで移動である。駅前の日産レンタカーに立ち寄ると、貸し出されるのはまたマーチ。パワー不足があからさまであまり好きな車ではないのだが・・・。アイドリングストップなんて余計な機能が付いていないバージョンだったのがまだ救い。

 

 さて今日の目的地だが、ここからこのまま八甲田まで突っ走る予定。目的は八甲田の山中にある酸ヶ湯温泉。山中の秘湯として知られている。アクセス道路の積雪が心配だったが、情報によると一ヶ月ほど前に除雪されて開通しているのでノーマルタイヤでも問題ないとのこと。

 

 青森の市街を抜けると国道103号を八甲田めがけてひたすら南下する。道は良いのだが、途中から段々と傾斜がきつくなってくるとマーチのパワー不足が露骨に現れてきていささかしんどい。それにしても山中の道にかかわらず通行車両がかなり多いのが気になるところ。

   

八甲田目指してひた走る

 途中の萱野高原で休憩。ここには茶店が二軒ほどあり、そばや団子を販売中。私は昼食を摂っていないのでここでそばを頂く。なおここでの名物は長生き茶らしい。このまま行けば先が長くないと思われる私はここで茶を頂いておく。

八甲田がそこに見える萱野高原には茶店が二軒
 

山菜そばとよもぎ団子を頂く

 休憩後は再び八甲田に向かって進むが、この辺りから沿線の風景が一変する。道路の周辺に雪が積もっているのである。やがて八甲田のスキー場を通過すると目的の酸ヶ湯温泉に到着する。

  ここから先は風景が一変する

 酸ヶ湯温泉は山中の温泉旅館。しかしGWのせいでここも大混雑。宿の前の駐車場は満杯で200メートル離れた上の駐車場に行かされる。

   

駐車場はこの風景で、車の背後は雪の壁

 酸ヶ湯温泉には混浴の有名な千人風呂と男女別の風呂の二つがあるが、どうせなら有名な千人風呂の方に入浴することにする。

 酸ヶ湯温泉

 千人風呂はかなり広い空間に二種類の浴槽がある。微妙に成分と温度が違う模様。なお両浴槽共に中間で男性領域と女性領域に区切ってある。女性用の湯浴み着なども販売されているらしいが、それでも雰囲気的には女性には入浴しにくそう。私の訪問時も男性ばかりだった。またここでもやはりマナーの悪い客が問題になっている模様。湯原温泉の砂湯などでは湯の中で女性を待ち受ける出歯亀オヤジ(俗にワニとよばれる)が問題となっていたが、こちらでも一見してそれと分かるような輩が見受けられる。それにしても不思議なのは、出歯亀オヤジは明らかに見ただけでそれと分かる卑しい顔つきをしていること。人間40を過ぎたら自分の顔に責任を持てという話があったが、確かに年齢を減るにつれて精神の中身が外観ににじみ出てくるということはあるようだ。中身の卑しいものは往々にして外観にもその卑しさがにじみ出てくる。政治家連中にいかにも浅ましい顔つきが多いのもそういうことだろう。安倍などもいかにも能なしのバカボンぶりが顔立ちに現れている。

 

 さて湯の方だが、若干の青みを感じる白濁湯であり、泉質は酸性硫黄泉ということになる。少しなめてみると非常に酸っぱいのに驚く。ここまで酸性のキツイ湯はここ以外では草津でしか体験したことがない。かなり強い湯だけに肌当たりもややキツいところがある。ただかなり効果のありそうな湯ではある。湯治の方法があるようだが、私はそこまで本格的なことをする気もないので、両浴槽をザクッと入浴して体を温めたところであがってくる。サッパリとした実に良い湯である。

 

酸ヶ湯温泉千人風呂(参考画像 出典:酸ヶ湯温泉HP http://www.sukayu.jp/inside/bathing.html)

 酸ヶ湯温泉が秘湯として人気がある理由はよく分かった。確かにあれだけキャラクターの強い湯はあまりない。近くなら通っても良いと思わせるような湯だが、さすがにこの山中ではなかなか来れないだろう。

 

 風呂上がり後はソフトを頂いてくつろぐ。ここのそばも有名と聞いたが、先ほど萱野高原で山菜そばを食べた直後なのでこれはパス。

 

 さて体も温まってサッパリしたが、これからの予定が実はまだキチンと考えていない。とりあえず車に戻って一人作戦会議。やっぱり城郭でも回るしかないが、この近くでの心当たりがない。というか、そもそもこんな八甲田の奥深くに城なんて作っても仕方ないので、この周辺に城などないだろう。城というものは平地を見下ろす山上に築くものであって、こんな山深くに築いても治めるべき土地がない。

 

 やっぱり弘前周辺にまで行くしかないか。弘前の手前に今は公園化されている大仏ヶ鼻城なる城郭があるとの情報があったのでそこを目指すことにする。

 

 今度は国道394号を下っていくが、これがなかなかの壮観。狭い日本にもこんなに雄大な光景があるんだなと呆れる次第。

 

 大分疲れた頃に大仏公園近くまでやってくるが、そこにたどり着くまでが路地の迷路。ただようやく現地にたどり着くと、そこは駐車場までキチンと完備した普通の公園。

  大仏公園

 「大仏ヶ鼻城」は、平川沿いの平地の狭隘部に迫り出した山上にある城郭。この地は南の大館からの街道を扼する要地なので、弘前を押さえるとしたら南方の守りに不可欠の立地となっている。そもそもは中世にこの地を治めていた石川氏の館群の一つだったらしい。後に津軽為信の津軽統一の過程で石川氏は滅ぼされたらしい。

左 手前は平らなグランドになってしまっている  中央・右 背後がいくらか城っぽいが実際には何もない

左 見晴らしは良い  中央 右手の最高所に登っていくと  右 頂上には何やら石碑が
 

 残念ながら完全に公園整備されているので往時の遺構はほぼ何もないと言ってもよい。ただ地形的に見て、周りから切り立った地形は城郭に相応しいことはよく分かる。背後の山側にはかなり高所があるが、ここは主郭とするには狭いので見張り台というところか。もしかしたら最後のお籠もりのための祠ぐらいはあったかもしれない。恐らく城の主要部は現在公園となっている辺りだろう。辛うじて複数の曲輪があったらしき構造は読み取ることが出来る。

  大仏ヶ鼻城遠景

 大仏ヶ鼻城の見学の後はここから南下して大鰐温泉に立ち寄ることにする。青森には何度か来ているが、今まで大鰐温泉には立ち寄ったことがない。

 

 大鰐温泉は昭和の温泉街といった風情の街並みである。ここまで来たならやはりどこかで入浴していきたい。大鰐温泉駅の駅前に地域交流センターcomeなる施設があり、これは道の駅と公民館と日帰り温泉を組み合わせたようなものである。ここの入浴施設「鰐の湯」に入浴していくことにする。

  大鰐温泉「鰐の湯」

 大鰐温泉は弱アルカリ泉とのことだが、多分この手の施設だと循環ありだろう。なぜか温泉成分の表記が館内に全くないのが気になるところ。湯自体はきわめておとなしく、ぬるぬる感は特になく、味もかすかな塩味がするだけ。新湯よりは当たりは柔らかいが、これと言った特徴のない湯。やはり先ほど超強力な酸ヶ湯温泉を味わってきただけに、これはあまりに分が悪いと言うべきか。

 

 温泉で体をほぐすと併設のカフェでケーキセットで一服。それは良いのだが、アイスコーヒーを頼んだら目の前でパックのアイスコーヒーをコップにダバダバというのは・・・。どうも地方のこの手の施設は、こういういかにもやる気の見えない飲食店が少なくないのが困ったもの。

 

 一服が終わったところで青森に帰ることにする。まだ時間に余裕はかなりあるのだが、もう行くべきところがなくなってしまった。この近くで他に温泉と言えば黒石温泉ぐらいだが、黒石温泉は以前に一度行っている(湯温温泉鶴の名湯)が特に印象に残っていないことからわざわざ再訪するまでもという気があるし、何よりもう温泉疲れをしてしまった。結局は青森に直帰して早々と車を返してしまう。

 

 車を返したところでホテルに入ることにする。ただその前に夕食を先に済ませようかと「おさない」の前を通りかかるがなんと店の前に数人の行列ができている。今までこういう光景の記憶はない。とりあえずトランクを引きずっている状態だし、先にホテルに入ることにする。

 

 今日の宿泊ホテルはルートイン青森駅前。昨日に続いてルートインの連泊になってしまった。今回の遠征ではルートインの使用が多く、例によっての「困った時のルートイン」である。GWは全体的にホテルの価格相場が上がる上に(ドーミーインなんて軒並み常軌を逸した価格になってしまう)、そもそも宿泊予約を受け付けていないところも増える(団体客などで既に塞がっている)ので、どうしてもルートインの依存度が上がってしまうのである。

 

 とりあえずチェックインを済ませて部屋に荷物を置いて一息ついてから再び夕食のために町に繰り出す。「おさない」の行列は・・・さらに伸びていた。普段は食事のために行列に並ぶという行動原理のない私だが、今回の遠征では行くつもりだった店をことごとくはずされたということもあるので、「おさない」だけは死守するつもり。

 

 客の回転は比較的速い店なので10分程度で席が空く。私はウニ丼ホタテフライを単品で注文。ただここから料理が出てくるまでが結構長い。

 

 先にホタテフライの方が出てくる。相変わらずうまいフライだ。醤油を少しかけていただくのがポイント。噛みしめた途端に旨味がにじみ出てくる。

 さらにしばらく待ってからようやくウニ丼が登場。さすがにウニ専門店のものよりは若干劣るが、それでもなかなかのもの。ウニの甘みを感じることが出来る。

  

 ようやく満足のいく夕食を取ったという感じ。満足して店から出てくると、行列はさらに伸びていた。どうなってるんだ? 今回は私が推していた店は悉くだ。みんな私のHPをチェックしている・・・なんてはずはないのは明らかだが、やはりネットなどでの情報なんだろう。よくテレビで芸能人が勧める行きつけの店とかスタッフ一推しの店なんて番組があるが、ああいう番組では絶対に本当の行きつけなどは出さないという。そうでないと野次馬に荒らされてしまうから。私もこれからは一推しはすき家とかロッテリアにでもしておくか(笑)。

 

 夕食を終えてホテルに戻るとしばしテレビなどを見てマッタリ。小腹がすいてきたところで今回の宿泊プランにおまけでついていたご当地カップラーメンを頂く。煮干し系の出汁がいかにも東北らしいが、それが関西人の私に合うかといえばまた話は別。

  

 小腹を満たしたところで大浴場で入浴。残念ながらここの浴場は温泉ではないが、それでもゆったりとくつろげる風呂はよい。

 

 風呂からあがると猛烈な疲労が襲ってくる。どうも昨今は体力が低下していて、疲労が溜まりやすい。また昨日と今日の長距離ドライブがかなり効いている。早めに就寝することにする。

  

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は7時頃に起床すると朝食。さて今日の予定だが、今日は遠征最終日で青森空港から夕方のANA便で帰宅するだけ。空港に行くまでの時間がフリータイムとなるが、霊によって全く何の予定もない。

 

 とりあえずチェックアウト後にはホテルのすぐ近くにあるワ・ラッセを見学することにする。ここはねぶたの山車などが展示してあり、一年中ねぶたが体験できるという施設。ちょうど五所川原の立佞武多の館みたいなものである。

 

 内部の展示はねぶた祭の歴史やら歴代ねぶた名人の紹介など。やはり名人ごとに作風の違いなどがあるようだ。実際のねぶたの山車はかなり凝った造りになっており、最早一種のアートである。また照明を使用するために大型の発電機なども搭載しているので、かなり大型で重量級。これを動かすのも相当大変だと思う。

 ねぶたの山車を鑑賞しながらしばしボンヤリしていると、その内にねぶた祭のデモンストレーションが。やはり鉦と太鼓のシンプルなリズムは日本人としての魂に訴えかけてくるものがある。なぜか原始的な興奮が巻き起こされる。「ラッセーラ」のかけ声に合わせてステップを踏むのだが、これが単純な動きなのだがなかなかにハード。私などは数分で息が上がってしまう。

 

 しばし祭の雰囲気を堪能してからワ・ラッセを出る。正直なところねぶた祭はいつか一度見に来たいと思っているのだが、この時期はこの周辺のホテルは料金が高騰する上に予約も一杯だからなかなか難しい。実現にはなかなかの困難がある。札幌の雪祭りは以前に何とか見学したが、こちらは無理かな・・・。ちなみに仙台の七夕は、以前にちょうどその時期に仙台に滞在していたにもかかわらず、全く興味が湧かずにスルーしたという前科がある。

 

 さて現在ちょうど昼前頃。飛行機が出るのは夕方なので、空港行きのバスは3時過ぎぐらいである。しかしもう青森ですることが全く浮かばない。散々悩んだ結果、仕方ないから弘前にでも行くかと考える。弘前城では現在は桜祭り開催中のはずである。

  弘前駅

 青森まではJRで1時間弱。弘前からも空港行きのバスはあるので、青森に戻ってくる必要はない。弘前に到着すると駅のロッカーにキャリーを放り込んでからバスでとりあえず「弘前城」を目指す。

 

 弘前城の桜は生憎と数日前に完全に終わってしまったようだ。現在は葉桜の状態になっている。ただ一部の八重桜などは現在満開。

 数年ぶりに弘前城の城内をプラプラと散策する。やはりこの城は良い。城全体の遺構の残存度合いが非常に高い。その点では玄人受けする城郭である。なお現在は天守下の石垣を修復するために天守を移動しており、天守台には何も乗っていない状態。だからわざわざ本丸に料金を払って入場する意味もあまりないので、外の無料区画からの見学で済ます。

  天守は場所移動済み

 祭とあって城内には露天の類いがかなり出ている。中にはお化け屋敷などのレトロ感満載のものも。露天で貝焼きやらそばを頂きながらの散策を楽しむ。

何やら昭和レトロ風情漂う露店街
 

 弘前城から戻ってくると駅前で昼食を摂ることにする。昼食を摂る店を探すのも面倒なので、駅前で適当にチェーンの居酒屋に入店、いかにもの海鮮丼を注文してこれが今日の昼食となる。

   

 昼食を終えた頃にはバスの時刻が近づいてきたので弘前駅前から空港行きのバスに乗車、青森空港へ。青森空港に来たのは初めてだが、典型的な地方空港。長崎空港や新潟空港などと雰囲気が類似している。

 

 結局はこの日はボンバルディアで伊丹へと飛んだのである。ボンバルディアは相変わらずの気持ち悪い飛行であったが、無事に伊丹へと到着、そのまま帰宅したのである。

  岩木山上空を通過

 

 

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