展覧会遠征 姫路編11

 

 最近は疲労の蓄積で完全にグロッキー状態で週末もしばし寝込んでいるような状態だった。しかしこのままではどんどんと体が鈍る一方で、体調も芳しくない。そこで今日は意を決して出かけることにした。

 

 まずは姫路の美術館から。

 


「ユトリロ回顧展」姫路市立美術館で7/2まで

 

 パリの街並みを描き続けた画家・ユトリロの初期の「白の時代」の作品から、後の「色彩の時代」に至るまでを展示。八木コレクションや個人蔵の作品が中心で、白の時代の作品が比較的多いのが特徴的である。

 そもそも彼は精神病院に入院していた際に治療の一環として絵を描き始めたと言うが、そういう頃の「白の時代」の作品の方が後の作品よりも明らかに精神的に深いものを感じさせる。一方、母親の贅沢な生活費を稼ぐために作品を量産していた時期の作品は、技術的には向上が見られるのだが、かつての作品に比べると精神性はかなり浅い。

 こういうようなことを作品を通じてあからさまに見せられると、やはり傑出した芸術とは狂気の中に宿るのではなどということを感じずにはいられないのである。彼の作品やゴッホの作品などは特に。


 さてこれで美術館の予定は終了。しかし今日は久しぶりに山城に登るつもりで出てきている。今回のターゲットに考えたのは姫路市の北、福崎町にある「春日城」。赤松氏配下の後藤基明が築城した城で、彼は赤松政則の配下として応仁の乱で山名氏の軍勢を破って軍功をたてたとのこと。1578年、城主・後藤基信の時代に羽柴秀吉の播磨攻めで落城、基信は自刃したとのこと。

 

 播但道に沿って北上していくと、春日山(飯盛山)があるのでここが春日城の場所。麓にふれあい会館という施設があり、その近くに駐車場があるのでそこに車を置いて進んでいく。山道を進んでいくと、途中で春日城方面とキャンプ場との分岐があり、そこからが本格的な登り。

左 ふれあい会館  中央 やけに楽勝そうに見える案内看板  右 登り口

 足下が完全に整備された山道なので、登っていくのは極めて容易・・・なはずなのだが、登り始めて5分で息が上がり、吐き気まで起こってしまうのが現在の私の体力の状況。かつての調子の良い時ならこんな登りは一息で山上まで行ってしまったはずなのだが・・・。認めたくないものだな、加齢故の衰えとは。

左 キャンプ場との分岐  中央 ここから本格的登り  右 死にそうになって山頂にたどり着く

 九十九折りの道で急斜面を直登していくのだが、途中で何度も休憩して持参した麦茶を飲みながら少しずつ登らざるを得ない。結局は20分程度を要して、ほとんど倒れ込むように山頂に到着。山頂にあったベンチにへたり込んだまましばらくは立ち上がれなくなる。マジで心臓が止まるかと思った。

 このベンチにへたりこんだ

 山頂の削平地はそう大きな面積ではない。案内看板の後ろに食料貯蔵庫の表示があって大きな穴が空いている。ここが倉庫だったということか。ただ雰囲気的には溜め池のようにも思えるのだが。

  

食料貯蔵庫の穴・・・と言っても写真じゃよく分からないな

 基本的には単郭構造のシンプルな城郭である。ここから鍛冶屋熊野神社に下っていく道もあるのだが、多分そちらの方が大手だろう。その方向には帯曲輪のような構造もあるようだが、鬱蒼していて立ち入ることは不可能。

 

熊野神社側に帯曲輪的構造はあるが、立ち入りは不可

 頂上は樹木を伐採してあるので非常に見晴らしが良い。眼下には豊かな田んぼが見える。地方領主としてはこの地を治めるには格好の場所だし、この豊かな土地は死守しないといけない場所であったろう。

 帰りは鍛冶屋熊野神社方面に下っていく。ふれあい会館側からの登り道は斜面直登のイメージだったが、こちらは城の遺構に従っている雰囲気がある。また階段の整備があちら側ほどなされておらず、しばしば自然斜面のまま。それだけに気を緩めると転倒の危険があって大変。これはこちらから登ってあちらから降りるのが正解ルートのようだ。私は完全に逆をたどってしまった。

 熊野神社側の登山口に降りてきた

 足下に気をつけながらしばし降りてくると熊野神社の横手に出てくる。かつてはこの辺りに領主館でもおいてあったのだろうか? 春日城は明らかに常駐する城ではなく、いざという時のお籠もりのための城である。ただそう凝った作りでもないので、秀吉の大軍に侵攻されるとひとたまりもなかったろう。

    

熊野神社と神輿

 久しぶりの山城攻略でとにかく疲れた。途中で心臓が止まるんじゃないかと思うこともあったが、今となると意外に体が軽くなっている。やはり全く体を動かさずにゴロゴロしているのも良くないようである。これから調子を見ながら運動していかないといけないようだ。

 

 とにかく汗をかいたのでこの汗を流すと共に遅めの昼食を摂りたい。そのための場所として思いつくのはこの辺りでは笠方温泉。10キロほどの道のりを車で走る。

 

 笠方温泉にやって来るのは久しぶりである。まずは「お食事処せせらぎ亭」で昼食を摂ることにする。注文したのは「辛味大根そば」の大盛り。

  

 ピリッとした大根がそばと絡んでうまい。ようやく生き返った気分。そばをタップリと腹に放り込むと続けて甘味。抹茶ラテとプリンのセットを追加注文して一息つく。

 昼食を終えると入浴。上のみはらし館の方に行くことにする。ここは開放感のある露天風呂が特徴。泉質はアルカリ性単純泉とのことでいくらかぬめりはあるがそう強くはない。ただ自家源泉の湯を循環はさせているだろうが、ダバダバと流しているので塩素臭もあまりなく湯自体は良好。

   みはらし館と源泉井戸

 ゆったりとくつろぐと、風呂上がりに地元飲料のゆず太くんを頂いて一息。生き返る気分。

 これで予定は終了で帰途についたのである。やはりたまにはこういう汗を流すこともしないといけないとつくづく感じた次第。やはりここのところインドア活動ばかりになりすぎていたか。そのせいで体が一気に老け込んだ気がする。

 

 

 

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