展覧会遠征 大阪ライブ編33

 

 今日は大阪で読響の第九。これが本年最後のコンサートということになる。

 

 木曜日の仕事を早めに終えると大阪に移動。コンサートの前に夕食を摂ることにする。時間に余裕があるので駅前第2ビルの地下に出向く。入店したのはカツ丼と親子丼の専門店「祭太鼓」。オーソドックスな玉子のカツ丼から、塩カツ丼、キムチカツ丼など変わりカツ丼が多彩にある店である。オーソドックスに玉子カツ丼を並ロースのシングルで注文。これに味噌汁と豆腐のセットを加える。

  

 ここのカツ丼が面白いのは、カツが銅鍋に入ってご飯と別に出てくるところ。後の食べ方はお好みでということらしい。私はオーソドックスに鍋の中身をご飯の上に移すが、汁が結構多かったので、つゆだくの丼が嫌いな私は汁をしためて鍋に戻すことに。

 

 なかなかにうまい。丼の味付けが甘すぎず辛すぎずで私の好み。そしてカツがなかなか良い。サクッと揚がっている上に肉も油も良い。悪い店だと揚げ油のせいでムカムカすることがあるが、そういうことは一切ない。そしてこれでトータル630円というのは驚異の高CP。こういう店があるから大阪は恐ろしい。東京だとこれよりも遥かにお粗末な丼で2倍以上の金を取られることがざらである。これは今後の選択肢が一つ増えた。

 

 夕食を終えたがまだ開演までは時間がかなりあるので梅田の地下をウロウロ。ちょっと「つる家」でお茶にしていくことにする。本当はわらび餅が欲しかったのだが、売り切れだとのことなので「生麩ぜんざい」を注文する。

  

 オーソドックスなぜんざい。ちなみに関西でぜんざいと言うのは、東京で言うところの汁粉。関西の汁粉とは小豆の粒が入っていないものを指し、小豆の粒が入っているとぜんざいである。関東でぜんざいを頼むとあんころ餅が出てきて驚いたことがある。

 

 これも甘すぎず薄すぎずで味付けが絶妙。また餅のような食感の生麩が美味い。最近は生麩を食うことが増えてきたが、私に生麩のうまさを教えたのはこの店と東京のサントリー美術館にある「加賀麩不室屋」である。

 

 お茶で一服したところでそろそろ時間となったのでフェスティバルホールに移動する。第九人気かホールはほぼ満席である。


読売日本交響楽団 第18回 大阪定期演奏会

 

指揮/サッシャ・ゲッツェル

合唱/新国立劇場合唱団(合唱指揮:三澤洋史)

曲目/ベートーヴェン:交響曲 第9番「合唱付き」

 

 指揮者がクリヴィヌの予定だったが、健康上の問題で急遽ゲッツェルに変更になったとのこと。

 若きゲッツェルはなかなかに颯爽とした指揮であるが、ただやはり急遽の代役でどうもオケと完全には調整が取れていない印象を受ける。今回の読響は全体的に室内楽的な小編成となっており、恐らくクリヴィヌはアンサンブルを重視した端正な演奏を意図していたのだと思われる。しかしゲッツェルの指揮はメリハリの強いなかなかにドラマチックなものであり、このような小編成よりも大編成を志向しているものに感じられる。オケと指揮者の両者の意図が微妙にかみ合っていないようで、特に前半の二つの楽章はいささかグダグダした印象となった。両者がかみ合ってきたのは第3楽章以降で、尻上がりに曲がまとまってきて、合唱陣の健闘もあってなかなかのフィナーレとなったようである。まあこの曲の場合は「終わりよければすべて良し」という解釈もあり得るのだが。


 クリヴィヌは医師の判断で長距離の移動を禁じられたとのことなので、エリシュカと同じような状況である。この辺りは極東の島国の悲しさでもある。それにしても今年はこの手の急遽の変更が続出した。スクロヴァチェフスキの急逝でロジェストヴェンスキーが代演したり、ビエロフラーヴェクの急逝でアルトリヒテルが代演したり。もっとも共に瓢箪から駒で、予想外の名演が登場して驚かされることになったが。この世界もかなり高齢の巨匠が多いので、健康問題はかなり心配なところである。健康問題が発生すると、どうしても極東の島国までは来られないということになってしまう。

 

 第九は一時間半ぐらいで終わって休憩がないので、第九公演の時は早く終わる。この日はいつもよりも早めに帰宅できたのである。これで後は来年か。

 

 

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