大阪市立美術館

 

天王寺公園内にある由緒正しい?建物 

公式HP

美術館規模 大

専用駐車場 無

アクセス方法

 地下鉄天王寺駅から徒歩

お勧めアクセス法

 電車で行くしか私には考えられませんが。

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展覧会レポート

 

「大阪人が築いた美の殿堂」 2006.11/3〜12/24

 いわゆるコレクション展で、本美術館が収蔵する名品の中から選りすぐりを展示するという主旨らしい。展示品は仏像・仏画・彫刻・工芸・日本画・洋画・陶芸などと幅広い。

 実に様々な一級品が展示されているのだが、残念ながら私の趣味の方がかなり狭いので、印象に残るのはどうしても絵画が中心になる。一番印象に残ったのは北斎の肉筆画である「潮干狩図」。晩年の北斎の作品には洋画的な表現が増加してくるのだが、ここでも洋画的な遠近法を完璧に使いこなしているのに驚かされる。

 これ以外では印象に残ったのは、上村松園と橋本関雪の逸品、さらに横山大観による紅葉を描いたド派手な金屏風ぐらいだろうか。

 

「ミラノ展」 2005.9/6〜10/16まで

 本展はイタリアの古都であるミラノの美術品を、中世のローマ帝国支配下にあった頃のキリスト教系芸術品から、ルネサンス期、さらにはバロックを経由して現代に至るまでの時系列に沿って展示している。目玉となっているのはレオナルド・ダ・ヴィンチによる素描の「レダの頭部」である。

 ダ・ヴィンチの作品についてはなかなか楽しめる。シンプルな素描であるが故に逆に彼の描線の細かさがうかがえ興味深い。またモナリザを思わせる謎の微笑みが見られることもいかにもダ・ヴィンチらしくある。ただこれ以外についてはあまり目玉がない印象で、どこにでもあるような作品が多かったように感じずにはいられなかった。個人的にはセガンティーニの作品が2つ展示されていたのが興味を惹いた程度か。

 

「興福寺国宝展」 2005.6/7〜7/10

 興福寺は藤原氏の氏寺として建造されるが、平安末期、平氏と対立したことにより焼き討ちを受け、その伽藍の大部分が焼け落ちるなどの甚大な被害を受ける。その後、直ちに再建されるのだが、この時に動員されたのがそれまで京都の仏師に圧されがちだった奈良の仏師達である。彼らは武家の時代を反映した写実的で力強い独特の仏像を建造し、運慶・快慶などの慶派と呼ばれる仏師たちが輩出していく。本展はこの鎌倉期の再興時の仏像・仏画を中心に展示している。

 私は仏像はあまり好きな方ではないが、例外的に興味を感じるのが「男前な」ガンダーラ仏と「マッチョな」鎌倉時代の仏像である。これらの仏像は肉体表現が非常に力強くてリアルなのが特徴であり、造形的に非常に面白い。本展でも圧巻は国宝の金剛力士像であり、手の血管までが浮き出て表現されている力強さにはなんとも言えない迫力を感じる。また運慶の手になると言われている法相宗の開祖である世親と無著の像などは、彫刻としても非常に面白く、運慶の技術力の高さをうかがわせる。

 本展では国宝級の仏像を間近でマジマジと鑑賞できるので、どちらかと言えば彫刻好きの人間が、仏像彫刻を楽しむのに最適であろうと感じる。

 

「祈りの道展」 2004.8/10〜9/20

 紀伊山地の吉野・熊野・高野は昔より真言密教の聖地であるが、この度紀伊山地の霊場が世界遺産に登録されたことを記念した展覧会である。展示されるのは、この地域の寺院に祀られていた仏像や宝物などである。

 この地域の信仰と言えば、真言密教や修験道などになるのであるが、印象的であったのは神仏が習合した信仰が多かったことである。外来の仏教を日本人に馴染みやすいものにするために、従来の神道に翻訳しようとしたのではないかと思われるが、これは布教のための工夫だったのではないかと思われる。また布教のために使用された曼荼羅なども展示されていたが、これを見ると、信仰のありがたさが一目で分かるという仕掛けになっており、この地域の寺院がかなり熱心な布教活動を行っていたことがうかがえる。

 またかつては人々が連なって熊野詣でを行っていたとのことで、そのガイド本のようなものも見られ、私自身は「聖地」という言葉とは裏腹に、むしろたくましい商魂のようなものがかんじられ、かえって面白かった。

 商魂という点から考えれば、神通力を持って鬼をも従えたという役行者の伝説などは、格好の宣伝でもある。すべてが実に計画的に設計されており、その背後にはかなり優秀なプロデューサー的な存在が見え隠れした。

 なお展示物の中ではやはり仏像類が圧巻。人々を見下ろす巨大な不動明王像などは、さぞや信者に畏怖の念を抱かしたことであろうと思われる。

 

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