大阪市立近代美術館心斎橋展示室

 

 

公式HP

美術館規模 小

専用駐車場 無

アクセス方法

 地下鉄心斎橋か長堀橋から徒歩5分

お勧めアクセス方法

 無理やり車で来るなら長堀橋の駐車場を使用することになるが、ここは普通は電車で行こう。

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展覧会レポート

 

「ニッポンVS美術 2006.10/28〜12/10

 明治期とは海外からの文化が急激に流入してきた時代であるが、実は「日本画」という概念が初めて確立されたのはこの時期だという。西洋からの洋画に対して、日本固有の絵画とはいかなるものであるかという苦闘の中から生まれた概念であるという。本展ではそのような日本の画家による作品を明治期、戦後、現在の3つの時代に分けて焦点を当てており、「近代美術館」という名称にふさわしい展示となっている。

 とは言うものの、展示規模が規模であるので、どうしても日本美術の流れを概観するだけになってしまう。第一部では竹内栖鳳や島成園の絵画が印象に残る。第二部は抽象画になるので私の興味の範疇外だが、堂本印象の「交響」だけは、その色遣いなどの面白さで印象に残る。これに比べると、どうしても甥の尚郎氏の作品は私的には数段落ちて映ってしまう。なお第三部は現代アートになるので、これは私としてはどうでも良い(笑)。

 

「モダニズム心斎橋」 2005.1/15〜3/21

 大正14年に市域拡大で東京市を抜いて、人口200万人以上で世界6位のマンモス都市となった大阪。当時の大阪ではモダニズム文化が花盛りとなり、まさに大阪全盛の時代となった。特に心斎橋は文化の中心として栄えていた。本展はそのような大阪全盛期の心斎橋にまつわる展示物を集めている。

 展示内容は実に多彩、当時モダンな建築や広告で庶民の注目を集めた大丸やそごうの豪華なポスターやパンフレット、果ては当時のそごうのエレベータの漆螺鈿装飾扉などという当時のモダンな雰囲気を伝える展示物を集めた第1部から始まり、小出楢重など心斎橋ゆかりの画家の作品を集めた第2部、竹久夢二がデザインした封筒などの柳屋ゆかりの展示物を集めた第3部といったようなトータル5部構成になっている。

 大正ロマネスクと言おうか、なんともレトロな雰囲気が会場中から漂っているので、そのような雰囲気が好きな者には楽しめる展覧会であろう。また私は大阪で生まれ育った人間ではないが、大阪土着民にはおのずとまた違った感慨があろうことと思われるので、懐かしさを求められる向きにもお勧め。

 

「熱情の巴里 佐伯祐三展」 2004.10/9〜12/12

 1898年に大阪で生まれた佐伯は、パリに渡ったものの、フォービズムの大家であったヴラマンクに「アカデミック」と批判されて、苦闘の中で自らの画風を模索したという。本展はそのような佐伯のパリ渡航直後の頃の作品から、30歳の若さで亡くなる直前までの作品を集めて展示している。

 パリ渡航後数年の作品は明らかに迷いが見られており、自らの今までの画風を破壊することからまず始まっていることが見て取れる。それが数年後にようやく画風が固まって新しい境地を開いたことは作品を見ているだけで、私のような素人にでも分かる。もっとも彼の作風自体は、明らかにパリの石造りの建物があって成立するものであり、病気で一時帰国した彼が描くべき題材のなさに苦しみ、再度パリに渡航したというのは理解できる。ゴッホなどの影響を受けていると見られる彼の画風では、日本の風景にはマッチしないだろう。ただそれだけに、個人的にはゴッホなどの真似事に見えてしまうきらいもないでもない。もう少し彼が長生きしていたら、もっとさらに突き抜けた境地に至っていた可能性があったろうことを思えば惜しまれる。

 

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